2 核直径の判断と錯視(図1a,b,c,e)
同心円で起こる内側の円の過大視は,錯視の一つで,直径の比が2:3のとき最大となり,+10%とされる.赤芽球の核直径も6マイクロメートル対細胞直径9マイクロメートル同様に7対10.5,8対12などの多染性ないし塩基好性赤芽球などで核が大きくみえることになる.
各人の観察能力にもよるが,大赤芽球や巨赤芽球の判定には影響すると思われる.必要なときにはミクロメータで実測する余裕が必要である.
3 核の大・小判断の必要性
末梢血では平均赤血球指数でHb含有量(MCH),容積(MCV),Hb濃度(MCHC〕が簡単にわかる.
赤血球は小児では一般に小球性で,老人では加齢に伴って大球性に傾くこともわかっている.これ以上に,赤芽球の核の大・小は成熟後の赤血球形態に反映する.
貧血時の赤芽球系の基本的な形態変化は,巨・大・正常・低色素性などで,末梢血の赤血球形態を説明できる関係にある.関係を知るには,よく塗沫された骨髄標本で,慣れるまで実測してみるのがよい.赤芽球形態の集積(赤芽球像)から説明できる能力が必要と思われる.細胞直径に対し核直径が大(N/C:大)ならば,その目安(表)をもとに核自体が大きいのか細胞質が狭いのかを即座に判断しなければならない.
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