図3 核自体の形の異常
赤芽球の核が1個(単一)の核で異常形態のものや,二核,多核など複数になるのは,分裂異常に基づく所見.発生した成熟段階の推定は,核の大きさ,塩基好性 Hb量による多染性の進行程度などの細胞質の染色性で見当がつく.形態異常は帰属不明の芽球(a)から正染性段階(d)まで広範囲に起こり,大きさ,形,核数(複数化),Hb量など,多種多彩である.図cでは,核分裂が3極になってみえるが,中央部を中心小体が支えているようで,それが図bや図dのような3個の核形成の背景にあるらしい.
- 赤芽球系では,
- 1)絶対数の増加(過形成:図1)
- 2)核の直径の不均一(図1)
- 3)クロマチン構造の異常(図1,2)
- 4)核自体の形態異常(図3)
- 5)血色素(Hb)合成の不均衡(図1,2,3,4)
このほか,代謝異常は環状鉄芽球やPAS陽性像など,多くの異常が同時に認められる.MDSの赤芽球系の代謝異常では,なぜ正色素性と低色素性の2種類の赤芽球が出現するのかとか,環状鉄芽球の評価や対比染色のコツなどは,拙著1)を参照していただきたい.他の造血系統にも形態異常があり,
- 6)好中球系の核の異常(図4,6)
- 7)巨核球系の異常(図5)などもみられることが多い.
- 8)好中球系の顆粒産生の異常(図6)
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