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赤芽球系の核形態を解析(その2)page2/2

図4(左):Hb合成も遅れた二重の不均衡図 図5 右:巨核球系の異常(ミクロメガカリオサイト

 大型の核,塩基好性の残存,Hb合成の遅れ,多染性への移行が遅い(a,b,c).

 核成熟,HB合成が遅れると塩基好性赤芽球の増多となり,核の大小,顆粒状クロマチンが目立つ.巨赤芽球と違い,Hb合成が悪いと低色素性の巨赤芽球様細胞(c)になる.個々の細胞のHb合成障害は,染色体異常などで環状鉄芽球と同様の異常と推定される一方で,多核,巨大で正色素性もある.

 d,e 好中球系分裂像の異常

 好中球系でも分裂形態の不均衡(d)やクロモソーム数の不均衡(欠失などを意味する)の異常(e)がある.赤芽球系でハウエル・ジョリー小体が発生するできことと同じような「染色体の迷子」とみることもできる.

 ミクロメガカリオサイト:小型の巨核球(a)は,核の形態や倍数性は骨髄球様で著しく小型のままで成熟が終わっている.クロマチンの濃縮は強い.

 同時に、blebとか,大きいのはblisterなど辺縁に水疱の様に突起した細胞質や微細なアズール顆粒の存在は特徴的.血小板を産生できるとしてもその数はきわめて少ない.これらが血小板減少の原因にもつながる重要な所見である.

図6 好中球の核,細胞質の異常

 分裂異常に起因する大小ニ核の異常(a),二核(b),顆粒の欠如(c,d,e)がある著明な萎縮像は無効造血を意味する.

 
文献
1)中竹俊彦:骨髄像の解析と表現.第1巻,1993(出版連絡先:杏林大学保健学部臨床血液学教室)
出典:中竹俊彦,高橋 良,関根名里子:血液細胞の社会をのぞく(11)赤芽球の核形態を解析(その2).医学検査45巻 5号.