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巨核球系は骨髄系幹細胞から赤芽球系とともに分化する.分化の道筋については別の機会に述べたい. 染色で巨核芽球と確認できた細胞は,すでに核の倍数性は8N〜32Nに倍加し,細胞分裂像はみられない.巨核芽球の最初の段階では細胞分裂が可能1)らしい.倍数性はときに64Nまで倍加し,細胞分裂像mitosisを伴わない.これは核内分裂endomitosisという特性による.何倍体まで核内分裂するかを何が決めるのかまだ不明だが,巨核芽球段階で決まるらしい.例外的に小さい4N相当の小型巨核球から,通常は32N,ときに64Nに多倍数化し,細胞質容積は血小板の2,000〜5,000個分に成長する. 巨核球系の変化は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)のほか,急性巨核芽球性白血病(FAB分類M7)や本態性血小板血症(ET)で問題になる.ここでは巨核球系の基本的な成熟過程をみよう. |
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Bessisによると,巨核芽球とは多倍数になる前の2N細胞であり,以前から骨髄巨核芽球と呼ばれていた多倍数体は好塩基性骨髄巨核球と考えるべきである1)と唱えている.これによると細胞分裂が可能な幼若段階(2N〜4Nの範囲)だけを指すが,この定義では形態学的に骨髄芽球と同一で鑑別できない.最初の核内分裂以降の,アズール顆粒を産生せずに大型化していく段階を好塩基性骨髄巨核球と命名している.われわれの理解している巨核芽球は,この好塩基性巨核球に相当する. わが国の教料書,成書の一般的な巨核芽球の判定基準では,直径15〜50マイクロメートルの大型細胞で,核の倍数性は4N〜32N相当,核の形は不整形、核クロマチンは豊富でやや太く,緻密な繊維状構造.1〜数個ある核小体は,あまり目立たない.細胞質は塩基好性が強く,アズール顆粒は認められない. |
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細胞直径は20〜80マイクロメートル,細胞質の塩基好性は次第に弱くなり,アズール顆粒が出現し,細胞質全体に分散していく.前巨核球の直径は成熟度の判定基準にはならず,核と細胞質の成熟状態の観察が重要である. 巨核球への血小板付着像は,巨核球細胞質の成熟度と比較して判断する(図5). 細胞直径は35〜160マイクロメートル,顆粒は均等に分散して細胞質を満たす.次いで顆粒は小集落を作る現象がみえる.この現象も巨核球の特性で,細胞膜が細胞質に陥入して血小板分離に必要なニ重膜となり,これが分離膜系として発達し細胞質が区切られるためである. 分離膜系が成熟すると細胞質は類洞壁の小孔から類洞内に突出し,先端から血小板を分離する.成熟巨核球の周囲でばらばらに血小板を分離するのではないから,骨髄塗株標本上で血小板産生像として正確に評価することはできないが,成熟度はわかる.血小板分離後の裸核はいずれマクロファージに処理されるが,標本上には比較的よく認められる.ITPでは症例により巨核球系のサイズが小型で幼若段階の時期にあるもの,大型化している時期にあるもの,逆に小型化していく段階が混在する時期がありうる.ITPの経過(病期)と骨髄穿刺の時期が症例ごとに異なるので,巨核球系の形態は症例ごとに,また経過中にも複雑で多彩な変動がある.さらに,塗抹標本上で小型の巨核球系が比較的多い症例は,血球計算板では巨核球が判定しにくく少なめに算定される傾向があり,標本の所見が重要である. 血球産生過程を詳細にみると,血液細胞の社会でも伝統的秩序が守られているのがみえてくる.観察では語りかける細胞の心をいい当てる気持ちが大切かもしれない.どの程度までITPの骨髄巨核球2)の形態を解析し,異常所見(秩序の乱れ)をどの程度まで指摘できるのか,観察者の能力を発揮できるところである. |