主任教授挨拶
 杏林大学医学部産科婦人科学教室
 教授 岩下光利

 産科婦人科学会への新規入会者は2010年までは年々漸増し、明るい未来像を描いてきましたが、これをピークに以後減少傾向が続いています。新規の入会者の60%を女性が占め、出産育児をこれから迎える会員が多いことから、このままでは産婦人科を担う人材の不足、ことに分娩を取り扱う施設での産婦人科医の不足が再度顕在化するのは明らかです。学会ではサマースクールを中心にプロモーション活動を行ってきましたが、他学会も同様の活動を開始したこともあり、新入会者の増加には繋がりにくくなってきています。学会では種々の新しいプロモーション企画開始に向けて準備を行っており、新入会者がV字回復することを期待しています。2015年から開始される新臨床研修制度では産婦人科を選択必修からも外すとの意見もありましたが、関係各位の努力で、必修科目にはならなかったものの選択必修科目には留まり、小児科・産科特例プログラムも当面現状維持となりましたが、先行きに関してはあまり期待が持てない状況です。産婦人科を取り巻く明るいニュースが少ない中、産婦人科医の労働環境改善に一筋の光明をさす話題もあります。産婦人科関係の医療訴訟は他科が増加しているなか、著しい減少傾向にあり、産科医療保障制度の運営が貢献しているとの最高裁の分析もあり、医療訴訟が多いと敬遠されてきた産婦人科にとっては朗報です。 全国レベルから教室の現況に目を向けますと、本年4月から男女2人ずつ4人の新入局者があり、ここ数年、4-5人の新規入局者が続いており、新規産婦人科医の減少の影響はみられておらず、逆に教室のマンパワーも充実してきました。東京にある大学病院としては決して入局者が多いわけではありませんが、退局者が少ないこともあり、確実に教室員は増えてきています。近隣の関連病院への派遣者も出せるようになり、大学関連の拠点病院もいくつか持てるようになりました。今後、大学関連病院の数を増やし、大学と関連病院間で医師の周期的なロテーションができるような体制を拡充したいと考えています。大学病院での後期研修ではまず産婦人科の専門医取得を初めの目標とし、それに続いてsubspecialty領域の専門医取得か博士号取得を第二の目標と定めて、大学病院での勤務が惰性に流れないように配慮しています。その結果、超音波専門医や臨床遺伝専門医、婦人科腫瘍専門医などの資格をもつ者や産婦人科専門医取得後に大学院生となって研究に従事する者も増えてきました。教室で働く者がそれぞれの目標をもって、生き生きと活動していることが教室の魅力となり、毎年コンスタントな入局者につながると考えております。


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