物理学は基礎科学の重要な柱の一つとして、自然の仕組みの解明に大きな役割を果たしている。複雑な生命現象も高度に発達した医療機器の基本原理も、物理学をはじめとする基礎科学の諸法則に支配されている。学生諸君が総合科学の典型である医学を学び、研究を進めていくためには、物理学をはじめ広く科学の基礎的な知識や手法を理解しておくことが必要である。この講義は、「医学と関連の深い流体、放射線の物理現象を理解し、それに基づいて血圧、血流などの現象や放射線医学、医療機器などの理解に必要な基礎を築く」ためのものである。学生諸君はこの講義を通して知識の獲得だけでなく、数理科学の論理展開にも目を向けてほしい。
教科書: 長岡洋介著「物理の基礎」東京教学社、赤野松太郎他著「医歯系の物理学」東京教学社
参考書: 「ライフサイエンス物理学」広川書店
講義予定
量子論、放射線
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講義テーマ |
講義内容 |
第1講 |
量子論1 |
電子と原子核の発見 |
第2講 |
量子論2 |
水素スペクトルとボーアの模型 |
第3講 |
量子論3 |
光電効果、コンプトン散乱 |
第4講 |
量子論4 |
電子の波動性とシュレディンガー方程式 |
第5講 |
放射線1 |
ラジオアイソトープと核エネルギー |
第6講 |
放射線2 |
原子核の崩壊パターン |
第7講 |
放射線3 |
直接電離放射線と物質の相互作用 |
第8講 |
放射線4 |
間接電離放射線と物質の相互作用 |
第9講 |
放射線5 |
X線の発生機構と物質の相互作用 |
第10講 |
放射線6 |
いろいろな線量、放射線の影響と防護 |
第11講 |
医療機器1 |
CT・PET |
第12講 |
医療機器2 |
MRI |
振動・波動・弾性体・流体
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講義テーマ |
講義内容 |
第1講 |
弾性体1 |
ひずみと応力 |
第2講 |
弾性体2 |
棒のたわみとねじれ |
第3講 |
弾性体3 |
生体への応用 |
第4講 |
振動と波動1 |
波と波動方程式 |
第5講 |
振動と波動2 |
波の反射 |
第6講 |
振動と波動3 |
波の合成 |
第7講 |
振動と波動4 |
ドップラー効果、 |
第8講 |
振動と波動5 |
超音波の利用 |
第9講 |
流体の力学1 |
圧力、気圧、浮力 |
第10講 |
流体の力学2 |
表面張力、ラプラスの法則 |
第11講 |
流体の力学3 |
ベルヌーイの定理 |
第12講 |
流体の力学4 |
層流と乱流、ハーゲン・ポアズイユの法則 |
第13講 |
流体の力学5 |
血流、血圧、流動抵抗 |