焦点式高エネルギー超音波療法(high intensity focused ultrasound: HIFU)

高 密度焦点式超音波 (high-intensity focused ultrasound: HIFU) 治療は、直腸に挿入したプローベという器機から前立腺に超音波を照射し、早期の前立腺癌を治療する新しい治療法です。これまでは、主にお腹を切って前立腺 を摘出する手術や放射線療法が行われてきましたが、いずれも患者様に対する侵襲(体への負担)、治療による合併症、治療に長期間を要するなどの問題があり ました。HIFU治療はより簡単で、患者様に負担をかけず、より安全な治療を目指して開発されたものです。


HIFUの原理

HIFUは超音波を利用することにより、離れた部位の癌病巣を治療するものです。一般に超音波はいろんな医学の分野、特に検査の目的で使用されています。 例えば、妊娠中の赤ちゃんの状態を観察するためなどに使用されています。この超音波を一点に集めますと、集まった部位は60~90度の高温になります。こ のことを利用して、治療法として開発されたのがHIFUです。


治療方法

肛門から治療用のプローベを挿入し、前立腺に超音波を照射します。プローベから照射された超音波は、離れた部位に超音波が集まることにより、この部分が 60~90度の高温になります。高温にさらされた癌の病巣は破壊され死滅します。この小さな焦点をコンピューターコントロールで少しずつ移動させていくこ とによって、治療します。治療中に出血することはほとんどありません。治療時間は約3時間、下半身麻酔にて行います。入院期間は4~6日間必要です。


メリットとデメリット(合併症)

HIFUは限局性(近くの臓器に広がっていない。または転移がおきていない)前立腺癌の治療法で、身体を傷つけることなく、80%以上の臨床効果が期待できる画期的な方法です。この場合の臨床効果は「癌が進行しなかった」ことです。
経尿道的前立腺切除術と比較してHIFUは次のような利点を挙げられます。

  1. 1.術中の出血がない。
  2. 2.術後早期から前立腺肥大症による刺激症状を改善することができる。
  3. 3.逆行性射精などの術後の性機能障害を起こさない。
  4. 4.短期間の入院あるいは外来治療が可能。

HIFU はこれまで前立腺肥大の治療法としてはわが国をはじめ世界中で施行されてきました。しかし、まったく問題がないわけではありません。これまでに前立腺肥大 症として治療した1200例中2例(0.2%)に尿道と直腸の間に穴があく合併症(尿道直腸瘻)が報告されています。この場合は一時的に人工肛門を作っ て、穴が閉じた後(約6~12ヶ月後)に人工肛門を閉鎖して治します。また、約半数に術後1~2週間の排尿障害(尿が出にくくなること)があり、この場合 1~2週間膀胱に、カテーテルを留置します。また、約10%に精液に血が混じることがありますが、これらはほとんど自然に治ります。


他の治療法について

現在、早期の前立腺癌の治療法としては、根治的前立腺摘出術と放射線療法が主に施行されています。
根治的前立腺摘出術の効果は、約80~90%で、現在最も確実な治療法とされています。方法は、お腹を切って前立腺を取ってしまう手術です。入院期間は、 約3~4週間かかります。また術中の出血及び輸血、尿失禁、男性機能不全(インポテンツ)や直腸損傷などの合併症が報告されています。
放射線療法の効果は、約80%と報告されています。入院期間は、約6~8週間です。副作用として治療中の下痢、直腸炎や治療後5~10年後に直腸潰瘍や狭窄などが2~5%報告されています。


治療費

患者様には94万5000円(4日間固定入院料金)のご負担で入院中の全ての経費を賄います。
※なお入院期間が4日間を超えた場合は一日につき36750円別途必要になります。
※個室をご希望の患者様は個室料金(一日につき29400円~)が別途必要となります。
※お会計は退院時に一括精算となります。
※なお入院時のお預かり金として95万円お預かり致します。

◆ 関連項目

症状でしらべる
前立腺肥大症・説明

使用するHIFU装置

HIFU装置はオペレーターコンソール、経直腸プローブ、環流水冷却装置から構成されています。

経直腸プローブは、治療時には挿入部にシースを被せその中に脱気水を充満させた状態で肛門に挿入し、超音波のエネルギーを焦点域に集束させ、その焦点域をコンピュータ制御でずらしながら前立腺全体を照射して治療します。

環流水冷却装置は、プローブ内の冷却水温度を20度に保ち、HIFUエネルギー入射面である直腸壁の保護をしています。

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