多発性嚢胞腎の説明
多発性嚢胞腎の症状
多発性嚢胞腎の診断方法
多発性嚢胞腎の治療方法

多発性嚢胞腎(Polycysitc Kidney Disease)

多発性嚢胞腎の説明と部位

多発性嚢胞腎とは、両側の腎臓の皮質、髄質に多数の嚢胞(のうほう:分泌液がたまって袋状になったもの。水泡。)ができ、実質(皮質と髄質)の萎縮と繊維化を伴う疾患です。多発性嚢胞腎は遺伝性疾患で、常染色体優性遺伝をする多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease; ADPKD)と、常染色体劣性遺伝をする多発性嚢胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease; ARPKD)に分類されます。

腎嚢胞(腎臓にできる嚢胞)は腎臓で尿の生成に関与する尿細管の一部が膨らむことによりでき、内部には尿の組成に近い体液がたまっています。1~2個の腎嚢胞は、10人中3人程度の方に見られ、それ自体は病的なものではありませんが、大きくなって腹部を圧迫したり、血尿の原因となったりします。またまれに腎腫瘍を伴うことがありますので、専門医の診断が必要です。多発性嚢胞腎以外にも腎嚢胞が生じる疾患があります。結節性硬化症、von Hippel-Lindau 病などの先天性(遺伝性)疾患、多嚢胞化萎縮腎などの後天性疾患がそれです。この場合も専門医の診断が必要でしょう。また、腎臓の発生が正常に進行しない 結果生じた異型性腎においても嚢胞形成が見られます。

常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎(ADPKD)

 

ADPKDは遺伝性の疾患であり、原因となる遺伝子としては現在PKD1 とPKD2の異常が知られています。
ADPKDは、約1,000人に1人見つかる非常に頻度が高い疾患です。腎臓や肝臓に嚢胞が多くできるために、おなかが張ったり、血尿が出たり、痛みが起 こることがあります。また高血圧になりやすい傾向があります。父親、母親のいずれかがADPKDであれば、子どもには50%の確率で遺伝します。これまで ADPKDのすべての方が最終的に腎機能が廃絶すると誤解されてきましたが、当科の東原教授が日本ではじめて疫学調査を行い、少なくとも半数の方は腎機能の廃絶には至ることなく日常生活に大きな支障がないことを発見しました。日本での推定受療患者数は、約15000人(透析患者5000人、非透析患者10000人)であり、透析患者全体の3~5%を占めています。透析導入となる平均年齢は男性は52.3歳、女性は54.5歳でした。我々の研究では日本人の場合、50~59才のADPKDの方の43%が透析に導入され、70才では50%の方が透析になります。


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◆ 関連項目
当科の術式・治療法
多発性嚢胞腎の研究

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