受験生サイト サークル紹介 学生支援ポータル 学納金サイト  [在学生・保護者専用]

世界を見据え、活躍してほしい

今年度の卒業式にあたり、学長として一言ご挨拶を申し上げます。
卒業生の皆様は杏林大学の3研究科、4学部、そして看護専門学校で共に学び、今日のよき日を迎えられました。皆様は入学した時のことを覚えておりますでしょうか。
入学してから今日に至るまでの道は、決してうれしいこと、楽しいことばかりではなかっただろうと思います。時には涙が出るほど辛いこともあったかもしれません。それらを乗り越え、今日の卒業式となり、ここに今までの苦労や努力が実を結んだものと思います。
将来、皆様が学生時代をともに過ごした仲間と昔話に興じるとき、さまざまなことが懐かしく思い出されるに違いありません。そして、皆様がこの喜びの日を迎えるにあたり、何より皆様を支え、応援してきた多くのご家族、友人がおりましたことに感謝してください。また、皆様の勉学を積極的に支援してきた杏林学園の教員・職員のことも、決して忘れないでいただきたいと思います。

卒業とはどのようなものなのでしょうか。卒業とは、学校の全課程を修了したことを学校が認定し、その学籍簿から離れることをいいます。これは何を意味するのかといいますと、卒業証書を得ることは、杏林大学が皆様を卒業に値すると認定し、保証しているということです。その卒業証書を大切にしてください。もちろん、卒業はすなわち修了したことを意味しますが、その言葉の中には、次へのステップ、発展をする可能性を秘めた言葉でもあります。
杏林大学を卒業した、そして次に皆様が成すことは、何なのでしょうか。今はまさにスタートの地点でもあります。しっかりと、これからの在り方を考える地点でもあると思います。卒業生の大半は、次の段階として実社会に旅立たれることになります。そこでは、本学で学び研究したことを活かしてください。杏林大学は文部科学省のプロジェクト、「グローバル人材育成推進事業」と「地(知)の拠点整備事業」に採択されました。杏林大学で学んだことを礎に、世界を見据え、活躍されることを願っています。

あるとき散歩をしていましたら、小さなお店がありました。その看板には、”festina lente”という文字がありました。最近、知人が本を書き、その本を私に送ってくれました。その題名が、”festina lente”で、驚きました。これはラテン語で、日本語に訳すと「ゆっくり急げ」、「あせらず迅速に」という意味で、ローマ帝国のアウグストゥス一世の言葉といわれています。日本語でこれに近いのは、「急がば回れ」、「熟慮断行」という言葉になるかと思いますが、”festina lente”は、もう少し時間軸を考えた言葉であろうと思います。あることをはじめようとするときに、あせることなく十分に吟味し、しかしあまり時間をかけずに実行していくことを意味しているのではないでしょうか。
諸君らは、実社会に飛び立ち、また医学部や保健学部の方々は医療の分野にはばたくことになります。まず熟慮、そして行動は迅速に、この言葉を時々思い出して、さまざまな局面に対応していただいければと思っております。

杏林大学の卒業生は3万人を超えております。これに新しく皆様方が同窓生と加わることになります。
つい最近、講演で都内の一流ホテルにまいりました。交歓会の席上で、ホテルの方が来られ、私に挨拶をされました。聞けば杏林大学の卒業生とのこと。立派なホテルマンで嬉しく思いました。そして翌日飛行機に乗るため羽田へ行きますと、そこでも挨拶を受けました。やはり杏林大学の卒業生だということです。そして飛行機に乗り、講演会場へ行き講演をした時に、医師会長の方が挨拶に来られました。その医師会長もまた杏林大学の卒業生でありました。本学の卒業生は全国のさまざまな分野で活躍しています。本当に頼もしいことです。三鷹、八王子のキャンパスで共に学んだ皆様が新しい杏林大学の同窓生として、しっかりと絆を深めていただきたいと思います。同窓生の連携はいつまでも続くことでありましょう。

杏林学園は2016年に創立50周年を迎えます。50周年に向けて大きな行事の一つが、八王子キャンパスから吉祥寺・三鷹駅に近い井の頭キャンパスに移転することであります。杏林学園はさらに発展するために、大きな一歩を踏み出そうとしています。ぜひ、卒業生の皆様も力をお貸しくださるようお願いいたします。ここに、今日卒業される皆様が、これからも健康に気をつけ、さらにご活躍されることを願って学長の式辞といたします。今日はおめでとうございました。


平成26年3月卒業式 学長式辞より