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第39回生 戴帽式式辞

戴帽式にあたり、学長としてご挨拶を申し上げます。
今日の戴帽式を迎え、杏林大学付属看護学校2年生の皆さんは、どのような思いをお持ちでしょうか?
いよいよ、本格的な看護学の実習にでるのだという意気込みとともに、心配や不安感も少なくないと思います。
あこがれの看護師への重要なステップですが、今まで経験したことのないものであることは間違いありません。でも、決して恐れることはありません。看護学校の教員、職員、病院の医師、看護師、職員を含め、多くの方々が、皆さんを励まし、支えてくれます。ともに戴帽した仲間とこれから有意義な看護実習をしてください。
さて今日では様々な分野で、急速な変化が起きています。医学の分野も例外ではありません。新しい診断法や治療法が次から次へと開発されています。
私は消化器外科医として45年近く手術をしてきました。以前は大きくおなかを開いて、胃や肝臓、膵臓を切除することが一般的でした。今ではおなかに内視鏡を入れ直接内蔵をみながら、小さな傷で手術をすることが可能となっています。ただしこれは高度の技術や高度の器具が必要です。
この内視鏡でみる画像も随分と進歩しています。数日前に私どもの付属病院において、世界で最初の新しい画像を使った手術が行われました。これはNHKのニュースで大きく取り上げられたので、ご覧になった方も少なくないと思います。
20年くらい前にこのような手術が開始された頃と比べると、天と地の違いがあるくらい鮮明で、小さな血管がきわめて明瞭に見えるようになってきました。このような高度な機械を使って手術をするには、様々な医療関係者が協力し合わねばなりません。まさに手術一つとっても、チーム医療が不可欠なのです。今日の医療で最も重要なキーワードはチーム医療だろうと思います。医師、薬剤師、医療工学士、臨床検査技師などの力を結集し患者さんの治療に当たるのですが、その中で大きな役割を期待されるのが看護師です。病院の中で看護師は24時間常駐し、病棟の看護、管理にあたっています。患者さんの一番身近に常時いる看護師が、患者さんの肉体面、精神面の異常を一番良く把握できるからです。
戴帽式では、ナイチンゲール誓詞により皆さんの心構えが高らかに詠われます。皆さんのこれからの大きなよすがとなるものです。
皆さんはクリミアの天使といわれたナイチンゲールのことはよく知っていると思います。彼女は近代看護教育の母ともいわれ、患者さんに献身的に看護をしました。一方、彼女はその看護をただ情熱だけで行ったのではないことを忘れてはなりません。彼女は豊富な知識を生かし、自身が見た様々なことを科学的に分析しました。彼女は、統計学の先駆者として評価されています。皆さんも、患者さんに対する献身とともに、常に勉学を忘れず科学的な物の見方を身につけて下さい。

皆さんが実習をする杏林大学付属病院は日本でも有数の規模の病院であり、患者さんも時代を先取りするような病気の方ばかりといえます。
これからの、看護実習を通じて、皆さんがしっかりと知識を身につけ、自分でしっかりと考える力を備えるようになることを期待します。


2014.11.15 看護専門学校第39回生戴帽式 式辞より