病院・診療科について花粉症対策

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 これからスギ花粉症も本番を迎えますが、患者さんにとっては非常に憂鬱な季節となります。
花粉症とは鼻の粘膜に起こるI型アレルギー性疾患で、発作性反復性のくしゃみ・水性鼻漏・鼻閉を主な症状とします。風邪っぽいが少しおかしいなと感じたり、鼻の異常が2週間以上続き、目の痒みなどがあれば、花粉症を疑って耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。両親、兄弟に花粉症の方がいると発症する確率が高くなります。
 関東ではスギ花粉症発生は2 ~5月、ヒノキ1~6月、ブタクサ8~10月、イネ4~10月が一般的です。花粉飛散開始日が気象庁などから発令されますので、開始時期が近くなったら注意し、初期治療を開始すると苦しむ期間が少なくてすみます。
 治療の基本は、原因となる花粉に触れないことで、マスク・メガネなどで予防し、洗濯物を外に干さないようにし、毛織物など花粉が付着しやすい衣服をさけ、室内の掃除、帰宅時のうがい・鼻かみも有効です。初期治療は内服薬、鼻のさし薬などですが、薬剤により特徴が異なるので、症状に合わせて医師に処方してもらいましょう。また、薬の副作用として眠気、口渇などがおこります。内服後の運転は控えてください。薬物治療の効果がなく症状が重い場合、また、1年中症状がある通年性アレルギー(ダニ、ハウスダストなど)の患者さんに対しては、杏林大学病院は鼻粘膜に対するレーザー手術、鼻内視鏡による後鼻神経切断術を行っています。特に後鼻神経切断術は非常に有効な手術法です。長い間、鼻のアレルギーに悩まされている方は当院受診をお勧めします。

(甲能直幸:医学部教授 耳鼻咽喉科・頭頸科)

杏林大学新聞 創刊号より抜粋