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■□■杏林大学医学図書館ニュース■□■ 第83号 2019.4.1 配信

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□Contents□
■ご挨拶■ 
■図書館からのお知らせ■ 
■お勧め図書■ 
■図書館長の多話ごと(たわごと)■ 
■図書館員のひとりごと■ 
■編集後記■ 

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■ご挨拶■
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三鷹キャンパスではたくさんの花が咲き誇り、新年度の幕開けにふさわしい彩りです。
4月のトピックは何と言っても本日発表の新元号、天皇陛下のご退位、そして5月にかけて
の超大型連休でしょうか。
新元号、何になるのかな。わくわくします!
さて、今回のメルマガのテーマは表現の自由と表現力。
どうぞごゆっくりお楽しみください。

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■図書館からのお知らせ■ 長期貸出図書の返却期限は4月5日(金)です
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学生のみなさん、春休みの長期貸出はご利用になりましたか?
返却期限日は新学期スタートに合わせていますので、忘れないようご返却ください。
借りている図書はMyLibraryでも確認できます。

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■お勧め図書■
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ショスタコーヴィチ : 引き裂かれた栄光

『ショスタコーヴィチ : 引き裂かれた栄光 / 亀山郁夫著. -- 岩波書店, 2018.』
(請求記号 : 762.38:Ko95 / 資料ID : 0014363550)※井の頭図書館所蔵

ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-75)は旧ソビエト連邦を代表する作曲家である。
社会主義体制と二度の世界大戦を経験するといった、過去の作曲家の中で最も過酷な環境
に置かれて活動したひとりと言ってよいだろう。
一歩間違えば粛清という異常な体制下での活動を貫いたため、自由主義世界の批評家から
は「社会主義のプロパガンダ作曲家」とみなされ非難と嫌悪の的になっていた。
再評価され始めるのは、本人が死にソ連が崩壊してしばらくしてからのことである。
クラシックに最初に興味を持った小学生時代にまだ存命中だった大作曲家の芸術家人生が、
自分の想像を超えるものだったことを再認識させる一冊である。(よ)
貸出状況はこちらから

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■図書館長の多話ごと(たわごと)■
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四半世紀も前のことですが、トロントに留学中に、夏休みを利用してトロント大学の「外
国人のための英語教室(3週間のコース)」を受講したことがあります。その、「作文」
のクラスで最初に学んだことは、言葉の選び方についてでした。例えば色の表現。Redやb
lueやgreenという語は、色を表す言葉の中でも最も基本的なもの(基礎語彙というそうで
す)で、こどもでも使う言葉ですので、上手な文章を書くには、もう少し上のレベルの言
葉を選ぶ方がよいということです。少しだけ緑がかった明るい青のturquoise、青インク
の色のようなprussian blue、濃紺のnavy blueなどの語が使えると、ぐっと文章に奥行き
が増しますね。日本語にも色を表す美しい言葉がたくさんあります。青系で言えば、浅葱
(あさぎ)、薄縹(うすはなだ)、千草色(ちぐさいろ)、藍錆色(あいさびいろ)、な
どなど、色の図鑑を見ていると飽きが来ません。
しかるに(そら出た!)、最近はこのような細かいニュアンスの違い、いやもっと大きな
意味の違いさえ乗り越えて(というか、無視して)、なんでもかんでも同じ言葉で済ませ
てしまおうという傾向がみられるのは悲しいことです。小さいも美しいも愛らしいもみん
なひっくるめて「かわいい」、気持ちがこもっているものはなんでも「こだわり」、驚い
たり感動したりしたら「すごい」。「ヤバい」に至っては、悪いもの危ないものだけでな
く、いいものにも使われるようになっています。「このケーキ、ヤバいね」は、まずかっ
たり腐りかけたりしているのではなく、おいしいということを言っているのだそうです。
こういう言葉ばかり使っていると、ものごとのありようや人の心を、細かく深く理解する
ことができなくなってしまいます。人間は言葉で考えるのですから、言葉が痩せてしまっ
ては、思考も痩せてしまうのは当然です。
語彙を豊かにするには、やはり優れた小説を読むことが一番ではないでしょうか。もう一
つは落語、特に古典落語ですね。落語の世界には、生き生きとした、生活の中の話し言葉
が詰まっています。「これ見やがって吃驚して座りしょんべんして馬鹿になっちゃぁ承知
しねぇ、こんちきしょうめ」(古今亭志ん生「火焔太鼓」)。
おあとがよろしいようで。(赤木)

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■図書館員のひとりごと■ 企画展示と木々の色
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昨年度1年間実施した医学図書館企画展示「医学図書館員がメルマガで紹介したおすすめ
本」、3月で終了となったこの展示ですが年間の貸出数は23回でした。
2016年度、2017年度の企画展示「医学生に読んでほしいこの1冊」の貸出数がそれぞれ67
回、60回だったことから考えても多いとはいえない回数ですが、たとえ数人であっても通
常の棚に並んでいただけでは出会えなかった本とのつながりを持ってもらえたのだとした
ら喜ばしい限りです。
とはいえ決して満足しているというわけでもなく、2016年に企画展示を開始してから、よ
り魅力的に見える展示とは?手に取ってもらえるよう興味を惹くには?ということを考え
続けてきました。もう少し惹きつけられる展示方法があったのではないかと思ってしまい
ます。人を惹きつける、というのはいかなる場面でもなかなか難しいものですね。

惹きつけると言えば、以前にもこのメルマガでちらりと書いたことがあったのですが、私
はこの図書館の窓とそこから見える景色にとても惹きつけられます。
いくつかの図書館で仕事をしましたが、ここまで鮮やかに季節の移り変わりを感じられる
図書館はなかったと思うのです。
高い天井まで伸びた大きな窓とそこに迫ってくる木々の色。なんだか無秩序に無造作に植
えられているかのように見えるところがより魅力を増しています。

4月は出会いの季節ですが、できれば皆さまにこの図書館であらたな本との出会いもあれ
ばいい。
そんなことを思いつつ、窓から見える木々を眺めつつ図書館員は頭を悩ませています。次
の企画展示も楽しみにしてください。(ヤ)


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■編集後記■
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図書館員(ヤ)が3月末で退職しました。閲覧部門を卒なく切り盛りしてくれていた、み
んなが大好きだった頼りになるおねえさん。依頼した原稿に「さよなら」は書かないのね。
(ヤ)の退職がエイプリルフールの冗談ならよかったのに・・・と思っています。(清)

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