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■□■杏林大学医学図書館ニュース■□■ 第92号 2019.12.2 配信

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□Contents□
■ご挨拶■ 
■図書館からのお知らせ■ 
■お勧め図書■ 
■図書館長の多話ごと(たわごと)■ 
■元図書館員のひとりごと■ 
■編集後記■ 

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■ご挨拶■
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毎年この時期になると思うことなのですが、一年って本当に早い。もう12月ですよ、皆さ
ん。医学図書館では先月シジュウカラが館内に入り込むという事件がありましたが、その
頃には緑一色だったキャンパス内に今では落ち葉のじゅうたんが敷き詰められました。イ
ンフルエンザも流行り始めていますね。どうぞ暖かくして、今年最後のメルマガ、ごゆっ
くりお楽しみください。

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■図書館からのお知らせ■
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・12月2日から学生対象の冬季長期貸出が始まります
12月2日(月)から12月23日(月)までに貸出した図書は、通常の貸出期間二週間よりも
長く、1月7日(火)が返却期限日となります。
また、現在貸出中の図書でも、期限が切れておらず他の利用者からの予約がなければ、同
様に1月7日まで貸出期間の更新ができます。是非ご利用ください。

・年内は28日(土)17時まで開館します
年内は28日が開館最終日、17時までの短縮開館です。
12月29日から1月3日までは休館、新年は4日(土)から通常開館です。
詳しい開館スケジュールはホームページでご確認ください。

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■お勧め図書■
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『居るのはつらいよ : ケアとセラピーについての覚書 / 東畑開人著. -- 医学書院, 201 9.』
(請求記号 : WM75:I66 / 資料ID : 0010386902 )

そうか・・・、そういうことか!と何度もつぶやき、自分の体験と重ね合わせながら夢中
で読んでしまいました。
この本は雑誌「精神看護」(医学書院)での連載をもとに「ケア」を仕事とする人向けに
書かれた学術書ですが、素人の私が完読できたのは文体が軽快でコミカルな語り口調なこ
と、作中で登場する個性的な人物が愉快で魅力的だったことが理由だと思います。
舞台は沖縄の精神科デイケア、心理学博士の作者は現代社会の生産性や効率性から対極的
なその場所で「ただ居ること」の意味や価値をそして「ケアとセラピー」の本質を問いた
だしていきます。
円をぐるぐる回るようなデイケアの日常、そこに効率性はいらず「ただ居る」環境を脅か
してはいけない世界。それはデイケアだけではなく学校でも職場でも人間社会のどこにで
も存在するものなのではないのでしょうか。
本当に面白かったけれど思いっきり考えさせられるなんとも不思議な本でした。(た)

☆貸出状況はこちらから☆

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■図書館長の多話ごと(たわごと)■ アクセント
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また「言葉いちゃもんシリーズ」に戻ります。
日本語にも発音するときにアクセントというものがあります。英語のように単語の一部分
(シラブル)を強く言うのと少し違って、日本語の場合はやや高い音で発音するので、イ
ントネーションと言った方がいいのかもしれませんが。

「最初に低く出て2文字目から高くなり語尾まで高いまま」という単語がたくさんありま
す。音符で言うと「♪ミソソソ」みたいな感じですね。たとえば、相撲、土俵、取り組み、
番付、まわし、横綱、関脇、行司、寄り切り、寄り倒し、上手投げ、上手出し投げ、下手
投げ、小手投げ、吊り出し、けたぐり…。何で相撲の言葉ばかりなんだとおっしゃると思
うのですが、次々に思いつくもので。で、これを「横綱アクセント」と呼ぶことにしたい
と思います(ここだけですよ)。

さてようやく本題。外来語のアクセントをこの横綱アクセント(以下、アクセントは省
略)で発音する傾向が目立ってきたように思われます。昔から無くはなかったのですよ。
ペット(トランペットのこと)、ハンドル、ハンカチなど。明らかに原語のアクセントと
は異なりますね。ZARD(ザード)という音楽ユニットがありました。これが横綱で発音さ
れていました。また、SNSのLINE(ライン)、これも横綱です。英語の感覚から言うと、R
の音やI(アイ:二重母音)の後ろの音にアクセントが来ることなどあり得ないのですが、
とにかく日本ではそうなっています。その頃からでしょうか、多くの外来語が横綱で発音
されるようになりました。スケジュール、アカウント、クリエーター、ローテーション、
サイト、リンクなど。1つ前のNHK朝ドラで、広瀬すずさんが演じる「なつ」が、アニメー
ターを横綱で発音していましたが、「おいおい、昭和30年代の人はそんな発音してない
よ」とツッコミを入れながら視ておりました。

日本語もだんだん横綱に変化しつつあるようです。山手線の駅では、従来から横綱の駅は、
東京、品川、五反田、渋谷、代々木、新宿、大塚、駒込、日暮里、鶯谷、上野、神田の12
駅です(多分)が、恵比寿、原宿、池袋、巣鴨などが横綱に昇進しつつあるように思いま
す。池袋は当選確実です。駅長は気の利いた4文字熟語を考えておいた方がいいでしょう。
心配なことが2つ。横綱で外来語を話すのが癖になっている人が、これを正しい原語のア
クセントだと勘違いして外国語をしゃべると、きっと通じないと思います。発音は少々変
でも大丈夫で、RとLの混同くらいは全然平気ですが、アクセントが違うと何を言っている
のかわからなくなります。もう1つの心配は、日本語の発音がみーんな横綱になってしま
ったらどうなるんだろうということです。美しい詩の朗読なんて文化は消滅してしまうの
ではないでしょうか? 試しに藤村の「初恋」や「小諸なる古城のほとり」を横綱アクセ
ントで読んでみて下さい。聞いている人がお茶を吹いちゃうかも。(赤木)


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■元図書館員のひとりごと■ NO LIFEのまえにくるもの
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医学図書館から離れ某専門図書館で勤務を開始しあっという間に半年が過ぎました。
政治、経済といった社会科学や建設、機械などの工学系の資料を中心に取り扱う現在の図
書館では、カウンター業務の他に雑誌受入れの仕事をしています。
「ダム日本」「区画整理」「積算資料」「SABO」等々・・・。これら当然ながら医学図書
館とは全く違う資料の数々にはじめは戸惑うばかりでしたが、日々受入れをしていると愛
着がわいてくるものです。
(ちなみに「SABO」は「砂防」です。砂防・地すべり技術センターが発行しています。)
そして「セメント・コンクリート」という雑誌を受け入れた時には、なんだか医学図書館
の「胃と腸」を思い出すんだよなあ・・・などとひとり変換遊びをしてしまうようにもな
りました。

そんな、環境の変化にも少しずつ慣れつつあったある日、雑誌「道路」を受入れしていた
時のことです。
その号の特集は「インフラを撮る」。中身をぱらぱらとめくるとポロシャツ姿の男性が座
談会をしており、その背中には「NO DOBOKU, NO LIFE.」の文字が。
これは一般の人々にも土木の魅力をわかりやすく伝えようと活動している「土木写真部」
なるものが開催している写真展のテーマとのこと。
「NO DOBOKU, NO LIFE.」何でしょう。これ。思わず「ふふふ」と笑ってしまったではな
いですか。
「NO DOBOKU, NO LIFE.」そりゃあそうです、という説得力もあり。そんなねらいはない
のかもしれないけれど笑ってしまう要素もあり。
もちろんあの有名レコード店のあのフレーズがあってのこれ、なのでしょうが。しかした
とえばこれが図書館の企画なら、「NO BOOK・・・」としたいところかと思いますが、そ
れでは何だかおさまりが良すぎていまいちなのです。
NO DOBOKU最強(大げさ?)。とすっかりこの言葉が気に入ってしまったのは、個人的な
興味の範疇からもかけ離れていた雑誌たちへの愛おしさが増してきている影響でしょうか。

これまでは知らなかった未知の世界への広がりに喜びを感じ・・・なんて、悠長に気取っ
た言葉で締めようとしてしまいましたが、そんな場合ではないのでした。
利用者のお役に立てるようもっともっと資料の知識を深めなくてはなりません。時には少
しだけひとり遊びを楽しみつつ、お気に入りのページにニヤニヤしつつ、がんばります。
(ヤ)


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■編集後記■
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今年も出会いあり、別れあり、事件あり、笑いありの一年でした。
そんな一年の締めくくりにと登壇していただいたのは、カウンター業務が担当だったスタ
ッフ(ヤ)です。「そういえば見かけないな」と感じていたあなた。今では彼女は他の図
書館で「ダム日本」や「SABO」といった雑誌に囲まれて働いているのですよ。
NO LIFEのまえにくるもの。あなたにとってのこの一年をもし表すとしたなら、NO LIFEの
前にあなたはどんな言葉を持ってきますか。(清)

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