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教授
荒川 みどり
(ARAKAWA, Midori)

経歴
1981年 東京大学文学部西洋史学科卒業
1985年 東京大学大学院修士課程修了(文学修士:西洋史学専攻)
1988年 同大学院博士課程中退
1988年 中国吉林省東北師範大学留日予校講師
1988年 旧ユーゴスラビア ベオグラード大学言語学部客員講師
1990年-93年 国際交流基金日本語国際センター専門員
同センター客員講師、および国内のいくつかの大学での非常勤講師を経て
2007年 杏林大学外国語学部専任講師
2011年 同准教授
2016年 同教授

先生の専門は何ですか?

日本語教育です。とくに外国人の学習者にわかりやすくことばの意味を伝えたり、文法や使い方のルールに気づきやすいような方法を考えることです。

授業を前に、教科書をにらんで、教え方や説明の仕方を工夫したり、教材を作ったりする作業は、ことばを教える仕事の中でもとくに楽しいものだと思います。

外国で日本語を学ぶ学習者には、教科書や教材が日本語や日本の社会、文化を知る窓口になります。教科書の中の外国に興味を持ってそのことばが好きになることもよくあります。

教科書への興味から、昔どのような教科書が使われていたか、その教科書を作った人はどんなことを考えていたのか、学習者はその教科書でどんなふうに勉強しただろうか、なぜ日本語を勉強することになったのだろうかなど、この頃は、いろいろ知りたいことが増えてきました。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

はじめは日本語を教える仕事に就きたかったからですが、教師の勉強で特に面白く感じたのは、ことばのルールとその例外をさぐることでした。

私たちが普段なにげなく使っている日本語には日本語の教科書や文法参考書に書いてあること以外にも、いろいろなルールが隠れています。教師の気づいていなかったことに、教室で学習者が気づかせてくれることも珍しいことではありません。それらのルールは、日本人が無意識に守っていることが多いのですが、学習者の間違い方や、疑問の持ち方で初めて教師がはっと気づくというようなことがあるのです。また、教室で使う教科書の日本語と実際に使われている日本語との間には、いつの間にかズレが生じてしまっていることがありますが、そんな生き物のようなことばの変化を考えたくなるのも、教室での学習者とのやりとりがきっかけになることがしばしばです。

学習者にとっては、なるべく例外なく、変化のないルールがたくさんあるほうが学習しやすいですが、一方で、学習者が日本の社会で出会う日本語の使い方は、教科書のルールからズレているように見えたり、いままさに変化の途中であったりします。

教科書の中の日本語と、その時々の社会で使われている実際の日本語との間にどのように違いがあるのかなどを調べたり、どんな日本語が学習者に必要なのかを考えたりすることなど、興味の対象は次第に広がっていくような気がします。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

外国語として日本語を教えていると、ことばへの興味が増すのはもちろんですが、なにより楽しいのは日本語を共通語として、「世界の人」と「世間話」ができることでしょう。

これまで28年間仕事をしてきましたが、思い出せる限りで、55の国や地域の人を教室に迎えてきました。こんな多文化環境で仕事ができる分野はなかなか珍しいのではないかと思います。

教室では、いろいろな出身地の人がロシアのオヤジギャグや韓国のお化け話に笑い、東京の片隅で起きた事件に顔を曇らせます。社会習慣、宗教や自然観、自国の産業構造など、立場によって意見が異なるクジラ問題について、私も含め教室の中にいた8カ国(宗教はおそらく4種類ぐらい)の人たちが、おだやかに、真面目に「大人の雑談」をしたこともあります。

日本語教育の勉強を通じて、本学の留学生と触れ合い、プチ異文化交流を体験してもらえれば何よりだと思います。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

日本語教育の分野は、言語学、教育学、日本学だけでなく、社会学、心理学、国際関係学など極めて多くの学問分野の知識が役立ちます。いいかえれば、勉強しなければならないことがとても広いのですが、すべての分野の専門家になる必要はなく、どこかに自分の得意な分野、あるいは特に関心のあるテーマがみつかれば大丈夫です。

学部の4年間で、様々な分野に触れ、興味が湧いてきたら、大学院に進んだり、いったん日本語を教える活動をボランティアや仕事としてはじめ、また大学院に戻って研究をしたりするのもいいと思います。

また英語教職はもちろん、公務員を目指す人や、国際交流の仕事をしてみたい、いろいろな国籍の人が一緒に働く職場で活躍したい、日本に住む外国の人たちをサポートしたい、海外で生活したいなどの夢を持っている人に、必ず役立つ分野です。

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