ポタラ宮
もちろんチベット自治区ラサ市にあるチベットの象徴ともいうべき建築物です。小高い丘の斜面につくられているので、見学は上から下へおりながら、ということになります。「垂直のベルサイユ」という表現は、じつにうまいとおもいます。内部は薄暗く、ヤクバター(毛むくじゃらの巨大な牛=ヤクのミルクからつくったバターを、灯明として燃やします)の匂いが満ちていて、それが、壁に描かれた曼荼羅や歴代ダライラマの霊塔とともに、独特のムードをつくっています。チベットの魅力は、屋外の強烈な白い太陽光線(このあたりは標高3700メートルぐらいなので、太陽の光は紫外線100%という感じの強烈さです)と、寺院のなかの薄暗さと匂いのコントラストにある、とわたしは思っています。この写真は修復工事の前、1990年の撮影です。