「です」は,このように「であります」がだんだん短くなってできたもので,現在はこの形で安定しています。しかし,この安定した状態は永久に続くのでしょうか。これよりさらに短くなるなどということはないのでしょうか。
実は,それはあり得るのです。すでにその兆候が現れています。たとえば,
「父は公務員_す」
「これ,おいしい_すね」
のように「です」の「で」が省略された言い方が始まっています。
江戸時代の人々は,未来人である私たちがまさか「です」などというとんでもなく短い下品な日本語を使っていようなどとは夢にも思わなかったにちがいありません。
もし100年後に 「私は学生です」などと言ったら,どうでしょう。まあ,何て古い日本語を話す人だろうと,びっくりされるかもしれません。そのころには
「私は学生す」
というのが正しい言い方になっている可能性があります。
もしかすると,もっと進んで,「す」もなくなって,ロシア語のように「私は学生」,これが正しい言い方になっているかもしれません。「私は学生」の後に何か言おうとしても,何も言うことができなくなっているわけです。
ことばは生きています。だれも変化を止めることはできません。(↓)
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