中竹俊彦 遊び部屋(I) 自然シリーズ (00 I-2-0) 生物 (1)鳥-2

鳥の世界(I-2-0) 2008.8.30

          庭先の野鳥(ヤマガラ、メジロ、コゲラ、ツグミ、ガビチョウ・・・)

                                                          中竹 俊彦

<前書き>

 庭のトリは文字にすると「ニワトリ」と似ていても、小鳥の実態は全く違って、「野生のことり」たちである。東京都の西、高尾山の周辺は「メジロ」が多い。ということは、シジュウカラも多いということでもある。メジロ・シジュウカラは種類も違うのに、新緑の頃に互いに混じって2つの仲間が連れ立ってやってくる。近年はガビチョウ(画眉鳥)までも、中国大陸からわたってくる。八王子の緑地が気に入ったのか。

 秋口になると今年生まれのメジロと共にシジュウカラの集団が一緒になって、近隣の林から出て住宅地の植栽(しょくさい:植え込み)の中までも、賑やかに鳴き交わしながら訪れる。その虫を探すグループにはヤマガラが混じってこないのがなぜか、それは成長後に木の実を好む餌の違いに基づく棲み分けらしい。シジュウカラの群れは、ときに「エナガ」が混じってくるが、鳴き声がそれぞれ違うので直ぐ分かる。

 「めじろ押し」という言葉は、巣立ち後の間もないヒナのメジロ達が、一本の枝に並んで休息している様子をうまく表現している。そのようにヒナ達が群れになってある時期を過ごすのは、スズメのお宿に代表される。日暮れ近い時間帯は住宅近くの常緑樹の茂みや、竹やぶの中から賑やかなスズメの大集団が鳴き交わしている。初秋の頃になるとスズメ(村スズメ、群すずめ)やムクドリそしてヒヨドリの群れがみられる。秋には、ムクドリがとくに大群になり南へ移動する。高知の市街地ではセキレイの大集団が街路樹をねぐらにするなどのように、若い鳥たちが「群れ」となって秋口から初冬に集団移動する社会を作るのは、次世代のカップルを形成するまでの「修学旅行」にも匹敵する。やがて、近い将来にどの地域で定住場所と伴侶を決めて巣作りするのか、「旅(たび)の途中」で見て、社会学習しているのだろうか、と思われる。成長過程の一定期間の集団生活は、どうも生物一般の生存・生き残りを懸けた「しきたり」らしい。

ヤマガラ

(左右とも)

メジロ(左)

 コゲラ(右)

ツグミ(左右とも同一個体)
 スズメ、メジロ、シジュウカラ、そしてヒヨドリ、さらにヤマバトなどは、普段から見慣れている小鳥なので視野に入ってきてもほとんど気にならない野鳥である。ときどき、この辺では一番小型の「エナガ」の鳴くかすかな声がすると樹上を見回して、我が観察眼は一通りは鳴き声のした周辺を探してみる。シジュウカラと群れるかのように同じ方向へ移動する。ときには、コゲラもペアーで混じる。カラスなどはむしろ小鳥に危害を加えるというより襲って食うので、小鳥・ヒヨドリ・ヤマバトのヒナには天敵。また、我が自然観察の邪魔にこそなれ、小鳥が逃げ惑う原因なので、カラスには愛着が湧かない。

 ところが最近までに見た、気にになる野鳥がいる。猛禽類に属する「チョウゲンボウ」が近隣に来ることが分かり、電線に止まって静止しているところを見たり、急に羽ばたくでもなく飛んでゆく方向をみると、ヒヨドリのヒナを襲撃していることが観察の結果、見えてきた。飛び方で分かる「巣立ち後のヒヨドリ」に向かって、「チョウゲンボウ」がぶつかるように襲うその瞬間は、ハトをハヤブサが襲うのとかなり違って、ケヤキの木々の隙間で起きている。ハヤブサはハトが群れ飛ぶ(ときに、ハトの群れが乱れてしまう)そのはるか上空から、急降下で群れに襲い掛かり、空中でぶつかってハトをキャッチするか地上すれすれで間に合ってハトの捕獲に成功するというのが多い。ところが、「チョウゲンボウ」の狙いは、木々の中から飛び出した巣立ち間もないヒナのヒヨドリの動きを瞬間に見つけて、かなり狭い空間飛行で成功する。そして、一定の範囲の電線には日に何度もやってきて、ヒヨドリの行き交う同じ位置へ注意を払っている〈らしい)。そういう狙いの動き(らしい)と想像できるというのも、電線にとまる位置が変わっても移動間隔(距離)が50メートルと離れてはいない位置に止まって、同じ様子で静止している姿が見えてくる。観察に慣れてくると、チョウゲンボウの行動にも獲物を狙う行動パターンがある様子も分かってくる。

ルリビタキ(左)

ガビチョウ(右)

▲この背中の青い「ルリビタキ」は、払沢の滝:ほっさわのたき(東京都西多摩郡檜原村)で1月に見た。八王子の寺田町住宅近辺では、庭でみたこともない。庭に来る「ジョウビタキ」とは名が似ていても、行動範囲が山中だけで生活範囲もいくぶん異なるらしい。枝に止まっている鳥は、デジタルカメラでも瞬間にピント合わせが出来ない。つまり、止まっている技を狙って、ピント(焦点・フォーカス)は「手動(マニュアル)」にしておいて合わせないと、ズームのオートフォーカスでは「木々の枝」や、その向こうの落ち葉にピントが自動で合わさったり、フォーカスが奥へ行ったり手前の枝に来たりする間に視野から消える。努力しても自動焦点がどこか不明なまま、この始末。

 (秋口から晩秋に庭へ来る「ジョウビタキ」ならば、背中も明るい褐色で、脇腹だけはこのように橙色で似ているが、その鳴き声は「ヒー、ヒー、コツ、コツ」と静かに、じつに細い声で鳴く。ゆったり止まって尾羽を上下するのが共通するが、ジョウビタキの撮影の機会が未だ実現しないので、残念ながら姿を比較できない)

▲この小鳥は目の縁(まぶた)と眉が白い画眉鳥(ガビチョウ。八王子で近年(2009)になって見ることが多くなった。早朝から窓辺の潅木(ここでは、グミノキ)に来て、突然のように啼(な)き叫ぶので、「小鳥の鳴き方」というにはあまりにもケタタマシイ! ある日から春眠を叩き起こすくらいの勢いで鳴くのが、まるで明け方の「改造バイクの暴走爆音」に匹敵するくらい、春の眠りを覚まさせる。春眠も、ガビチョウにびっくり:(大きい画像を見る)

 この鳴き方は「野鳥の聞きなし(人が啼き方をまねる)」に登場する雅(みやび)やかな「サエズリ」とはとても言えない。鳴き方は大きな口笛と同じ。「聞きなし」は不可能。静寂破りでうるさく、何度聞いても、始めから「啼き方の順序や秩序」がない。乱雑に鳴くように聞こえる点が、早朝からうるさい「ロウゼキ者」に匹敵する。朝と夕方に突然啼くが、巣作り・抱卵までがうるさくて、ヒナが生まれると餌取りに多忙で啼かなくなる。容姿の類似点は目の周りが白いのがメジロに似て、眉のように白い部分はツグミやホオジロに似ると一歩譲っても、羽毛はチョコレート色。啼き声はコジュケイ(チョットコーイ! と大音響)ほどではないが、突然で甲高く、突拍子もない啼き方。

 8枚の画像は、山中で見た「背中が青色」のルリビタキを除き、いずれも自分の目で周囲の植栽を眺めるとき、自宅リビングの窓から敷地の庭先で観察・撮影できた。カメラはSony handycam videoでの静止画撮影。

(1段目:から2007年3月末、栃(トチ)の木の新芽の時期に巣箱への契約が成立した「ヤマガラ」、はその初めて来訪時に巣箱横のハナミズキの枝で)

(2段目:2008年2月、窓下のグミの木で、ミカン・リンゴなどで満腹後の「メジロのペアー」  は2007年11月、窓下の栃の木に来ていたコゲラ2羽(左、右の各枝に黒い縞模様の2羽・一番:ひとつがい、ペアー・カップルでも良いが)

(3段目:左・右とも、2008年4月、庭にきている「ツグミ」(同一の個体)。芝のクモなどの虫を食うらしい。鳴かずに動き回り、飛び立つ時だけ、ときどき発声が聞こえる。

(4段目::ルリビタキ 2008.1.31.:あきる野市(秋川上流)の檜原村(ひのはらむら)にある「払沢(ほっさわ)の滝」の坂下の駐車場から10m下の沢筋で。 イロハモミジの枝で、初夏の渡り鳥のはずの鳥がなぜ1月末にいたのか、と勘違いした。というのも、この様に背中の青色が同じように瑠璃色をしてる「オオルリ(夏の渡り鳥)」ならば、胸元が黒いことを後日知ったのだが、このルリビタキは冬鳥であって、わき腹の橙色がこのルリビタキ(♂)の特徴。

(4段目:は画眉鳥(ガビチョウ)。八王子では近年(10年位前から鳴き声は聞かれた)、中国大陸から画眉鳥が渡り鳥として飛来し、人の口笛より大きな鳴声でさえずる。鳴き方は一般に鳥の鳴き方を人が文字で例える「聴きなし」では表現できないほど。真似できないほど変化に富んでいて、鳴き始めから終わりまで一定していない(その様に思う)。鳥の鳴き方はウグイスやホオジロなどの様に「法法華経(ホーホケキョウ)」や「一筆啓上仕り候(イッピツケイジョウ ツカマツリ ソウソウ)」などと馴染みやすいのに比べると、この白い眉毛の鳥は「鳴き方にルールなどお構いなし」で、口笛どころか「喧しい鳴き声」で、鳴き始めから終わりまで「ただ、ただ、うるさく」立て続けに叫ぶ。調子も何にもなさそう。春になると「金木犀(キンモクセイ)」などの枝の葉影で巣作りする。ということは、メスを呼ぶ歌声であり、ときにはあちこちで同時期に鳴く仲間の鳥への「縄張りの主張」でもあるから、情報伝達の可能な鳥語の音声には違いない。

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