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平成19年3月杏林学園卒業式が行われる


 杏のつぼみも開花を待ちわびる八王子キャンパスで、3月16日(金)杏林学園卒業式が行われました。この日は粉雪も舞う真冬に戻ったような寒い1日となりましたが、卒業式には、大学院では医学研究科21人、保健学研究科6人、国際協力研究科27人、学部・看護専門学校では、医学部93人、保健学部256人、社会科学部・総合政策学部368人、外国語学部342人、医学部付属看護専門学校93人の合わせて1206人が臨みました。

 式ではまずそれぞれの代表者に学位記と卒業証書が授与され、優れた成績を残した15人の学生に学園長・学長賞として表彰状と記念品が贈られました。

 つづいて、松田博青理事長と長澤俊彦学長が式辞を述べましたが、この中で松田理事長は「これからは自分の意見をしっかり持ち、安易な道だけを選ぶのではなく時には歯を食いしばって逞しく生き抜いてください。そして恵まれない方々に対してはできる範囲で援助の手を差しのべるような本当に社会に必要とされる人材に育ってください」と卒業生を激励し、はなむけの言葉を贈りました。

 この卒業生の中に、2004年12月のスマトラ沖大地震で家族や親戚を亡くしたスリランカからの留学生、アジット・ヒングランガラさんがいました。アジットさんは大学や教職員などから支援を受けながら、多くの困難を乗り越えて勉強を続け、外国語学部の学位記を晴れて手にすることができました。この日はいままでアジットさんを精神面や生活面などで支えてきた友人の学生や教職員もともに卒業の喜びを分かち合いました。アジットさんは今後、習得した日本語を生かして日本での就職を希望しています。




松田博青 学園長・理事長式辞

 この学校の所定の課程を経て人生の新しいスタート台に立つ皆さまにまずお祝いを申し上げます。

 学生時代は多くの出来事が学生だから、クラブの部員だからと言うような理由で大目に見られることもありますが、社会に出ますとすべての行動・態度・言動は個人個人の責任に帰せられます。また社会に出ますと皆さん方に求められることの第一は、自分の意見・自分の考えを自分の言葉・自分の文章で明確に表現して、相手に理解を求めることです。

 この国には昔から「物言えば唇寒し−」という言葉や、小学校以来、議論・ディスカッションの訓練の時間がほとんどないということがあります。一方で地理的・政治的な国境はあるにしても、現実には人や物や金は世界中を回っておりますので、自分の意見を表現しない場合には、意見なしと言うことで無視されてしまうことになります。

 また、社会に出ますと学生時代のような楽しかったこと、嬉しかったことの連続よりも、辛いこと、厳しいことの連続です。このときに皆さんが安易に逃げ出したり、近道を探したりするのではなく、歯を食いしばってでも、長い暗い道を歩み続けることは必要であります。その理由は、その先に光があるからです。

 さらに社会生活を続けていきますと、皆さん方は自分がいかに恵まれているかに気がつくはずです。言い換えますと、自分よりも弱い人、自分よりも恵まれない人が世の中にはいかに多くいるかを知ることになります。社会が最も必要としている人材は、皆さん方がこれを自覚したときに、自分より弱い人、恵まれない人に自分ができる範囲内で手を差し伸べて援助し、励ますことができる人です。

 皆さんがこれからも健康に留意されて、最終的に社会が求める人材に成長されるよう期待して、お祝いの言葉といたします。




長澤俊彦 学長式辞

 大学院3研究科で修士、博士の課程を修了した皆さん、おめでとうございます。21世紀の日本は知の創造とその活用によって世界に貢献する国の実現を目指しています。皆さんは小さいながらもわが国の知の財産を増やすことに貢献されたのです。ノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈博士は研究者が創造性を発揮するためには無用な情報にとらわれることなく、子供のようなあくなき好奇心と初々しい感性を持って研究することが大切だと力説されています。これからも杏林大学大学院で獲得した研究の成果とresearch mindを生かして夫々の分野で活躍されることを期待します。

 4学部、看護専門学校の所定の課程を終えて学位記、卒業証書を手にした皆さん、ならびにご列席のご父母の皆様おめでとうございます。私ども教職員一同今日1059名の有為な若者を社会に送り出すことを大変嬉しく、かつ、誇りに思っています。

 今の日本は、後世「平成維新」と呼ばれてもいいような大きな変革期にあります。このような時代に明日から社会に一歩を踏み出す諸君に社会が求めているのは、与えられた仕事に対して徹底的に創意工夫する力、粘り強く実行する力、多様な人々と協力・協調する力です。杏林学園で3,4,6年と真善美の探究をした諸君ならば必ずやこれらの三つの力を遺憾なく発揮して社会に役立つ人材と信じています。幸いに皆さんの先輩は夫々の分野で杏林の出身者はすばらしいとの評価を得ています。皆さんは杏林の卒業生であることに誇りを持ち、胸を張って活躍してください。

 ところで、いまやわが国は世界有数の長寿国となりました。皆さんの周囲にも高齢者の方がきっとおられることと思います。医学部、保健学部、看護専門学校の卒業生は職業として、文系2学部の皆さんもどの分野に進んでも高齢化社会の問題にかかわると思います。是非高齢者に優しい態度で接してあげてください。やがて皆さんも年をとります。そのとき元気に過ごすためには若いときに身体を作ることが大切です。社会人となると、生活環境は学生時代と一変して緊張とストレスが続く毎日です。健康を損ねないように強い意志を持って自らの健康は自ら守り、もてる力を十二分に発揮して社会に貢献してください。皆さんの前途に幸多いことを願って学長の式辞を終わります。

【学長の式辞(ビデオ)】


2007.3.17