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言語聴覚療法学専攻の間藤助教が実施した慢性咳嗽に対する行動療法の臨床研究が「咳嗽(がいそう)・喀痰(かくたん)の診療ガイドライン第2版2025」に引用されました

2025年05月13日

8週以上慢性的に咳の症状が持続する患者さんは、日本では約300万人いると推計されています。通常は投薬による治療が行われますが、それでも咳の症状が改善しない場合、アメリカやヨーロッパの咳の治療に関するガイドラインでは行動療法を実施することも推奨されています。行動療法の基本的な内容は、従来から言語聴覚士が音声障害や摂食嚥下障害の患者さんに行っているリハビリテーション手技を応用したものです。例えば、個々の患者さんにとって咳が誘発されやすいトリガー(冷気、湯気、煙、におい、発声など)を特定し、日常生活の中で咳が出そうと感じたら呼吸訓練や嚥下訓練を行うことによって咳を抑制するといったことを行いますが、これまで日本ではこの行動療法が実施されていませんでした。

そこで間藤助教は本学付属病院耳鼻咽喉科を受診した慢性的な咳を有す患者さんに行動療法を実施し、その結果、諸外国による研究報告と同等の咳の改善効果が認められました。慢性的な咳に対する行動療法が日本の患者さんにも有効な治療法であることが示され、先日改訂された、本邦の「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025(日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版作成委員会編集)」に引用されました。

間藤助教は「慢性咳嗽に対する行動療法が日本においても様々な医療施設で実践することできるよう、治療技術の普及に努めていく所存です」と話しています。

図1 行動療法の実施に関するプロトコル (発表論文より引用、一部改変)

[論文]

発表雑誌: 音声言語医学

論文タイトル: 本邦における慢性咳嗽患者に対するspeech and language therapy(SLT)の効果

著者: 間藤翔悟, 渡邉格, 宮本真, 中川秀樹, 石川恵子, 齋藤康一郎

[引用されたガイドライン]

咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025: Chapter 4主要な原因疾患: L難治性慢性咳嗽

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