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関川助教・人見講師らが、高齢者のグループLINE利用が社会的孤立の少なさと関連していることを明らかにしました!

2025年10月25日

研究のハイライト

  • 本研究では、日本の都市部に住む高齢者を対象に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やグループLINE利用と社会的孤立との関連調べました。
  • SNSの利用頻度やサービスの種類(LINE、Facebook、Instagram、Xなど)とは、有意な関連はみられませんでした。
  • グループLINEを利用している高齢者は、利用していない高齢者に比べて社会的孤立の傾向が低いことが示されました。
  • さらに家族のグループLINEより知人・友人のグループLINEに参加していることが社会的孤立に対し有用である可能性が示されました。

研究のハイライト

  • 本研究は、都市部に居住する高齢者を対象に、SNSやグループLINEの利用と社会的孤立の関連を明らかにすることを目的としました。
  • 調査は日本の都市部(東京・神奈川・埼玉・千葉)の65歳以上の高齢者345名を対象に質問紙調査を行いました。
  • 社会的孤立はLubben Social Network Scale(LSNS-6)を用いて評価し、精神的健康(うつ傾向)や身体的健康(フレイル)、外出頻度、主観的健康感なども併せて調査しました。
  • ロジスティック回帰分析の結果、グループLINEの利用は、社会的孤立の少なさと有意に関連していました。さらに、グループLINEの種類では、家族や親せきのグループに比べ知人や友人のグループLINEに参加していることが、社会的孤立の少なさと有意に関連していました。
  • これらの結果は、オンライン上での複数とのやりとりが社会的孤立の抑止に有用である可能性を示唆しています。

研究背景・目的

  • 高齢化が進む日本では、社会的孤立が健康や生活の質を低下させるとして注目されています。
  • 特に都市部では、単身高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化が課題となっています。
  • 一方、近年は高齢者の間でもスマートフォンやSNSの利用が広がりつつあり、これらが新たな「社会的つながりの場」として機能している可能性があります。
  • 本研究では、SNSやグループLINEの利用が高齢者の社会的孤立にどのように関連しているかを明らかにし、SNSを用いての高齢者支援の知見を得ることを目的としました。

研究成果

  • SNSの利用頻度(LINE、Facebook、Instagram、X)と社会的孤立の間には有意な関連はみられませんでした。
  • 一方で、グループLINEを利用している高齢者は、社会的孤立の傾向が有意に低いことが明らかになりました。
  • 性別(男性)や一人暮らしは社会的孤立と関連しており、特にグループLINE利用は、これらのリスク要因をもつ高齢者の社会的つながりを支える可能性が示唆されました。
  • これらの結果は、SNSの利用そのものよりも、グループやコミュニティに所属すること、これらを通じたコミュニケーションやつながりが社会的孤立を防ぐ鍵になることを示しています。

掲載論文

  • 発表雑誌名:Geriatrics(IF 2.1)
  • 論文タイトル
  • 著者:Yohei Sekikawa1, Masafumi Kunishige2, Taichi Hitomi1, Kazumi Kikuchi3
  • 所属
    • ¹ 杏林大学保健学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, ² 文京学院大学, ³ 帝京平成大学
  • 用語の解説、注釈
    • 社会的孤立(Social Isolation):他者とのつながりが乏しい客観的な状態を指し、健康状態の悪化と関連する。孤独と感じる主観的な「孤独感」とは別と定義されている。
    • グループLINE:コミュニケショーンアプリの「LINE」の機能。複数人が同時にメッセージを共有できる機能。
    • SNS(Social Networking Service):オンライン上で人々が交流するためのサービス。
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