保健学部
メニュー
Faculty of Health Sciences News 保健学部ニュース

Nature誌で紹介:アレルギー反応の“起点”を探る―センサー分子を標的とした新たな治療法の可能性

2025年10月28日

国際的な総合科学雑誌Natureのウェブサイトに20251023日に公開された特集企画Nature Index Immunologyの一部として、記事広告「Switching off allergic reactions before they begin」が掲載されました。本内容は、臨床検査技術学科の新江賢准教授が分担研究者として参画する日本医療研究開発機構(AMED)令和6年度免疫アレルギー疾患実用化研究事業「モデルマウスを用いた成人発症型喘息の発症機序の解明」の研究・開発内容です。

 掲載記事はこちら:https://www.nature.com/articles/d42473-025-00254-z特集のトップページはこちら:https://www.nature.com/collections/immunology-index   


花粉やダニ、カビなど、身の回りのアレルゲンに対して免疫系が過剰に反応してしまうアレルギー疾患。現在、その発症メカニズムの根本を解明しようとする新江准教授(臨床検査技術学科)と広島大学との共同研究が、世界的科学誌『Nature』で紹介されました。 研究チームは、アレルギー反応の“出発点”となるセンサー分子(sensor molecule)に着目。免疫細胞がアレルゲンをどのように認識して反応を始めるのかを明らかにすることを目指しています。 研究では、ダニ、カビ、花粉由来のアレルゲンでコーティングした微小ビーズを用い、免疫細胞内でアレルゲンと結合する分子を探索。その結果、複数の候補となるセンサー分子を見いだしました。さらに、これらの分子を欠損させたマウス(ノックアウトマウス)を用いることで、実際にどの分子がアレルゲン認識に関与しているかを検証しています。 もし特定のセンサー分子がアレルゲン認識に重要であることが分かれば、アレルギー反応の根本的な引き金を断つ新しい治療法につながる可能性があります。「センサー分子とアレルゲンの結合を阻害する薬剤が開発できれば、アレルギー症状を根本から抑えることができるかもしれません」と新江准教授は語ります。 本研究チームは現在、他の共同研究者と連携し、センサー分子を標的とする新たな薬剤開発の可能性を探っています。「私たちは、サイトカイン産生を含むアレルゲン関連の免疫応答を特異的に抑える薬を設計したいと考えています」と新江准教授。 

Nature誌での紹介は、世界的にもこの研究の重要性と将来性が高く評価されたことを示しています。アレルギー疾患の根本治療を目指すこの挑戦は、免疫学研究の新たな地平を切り拓くものとなるかもしれません。

  • 記事をシェア
  • fb
  • twitter

関連記事

single.php