血液形態学の自己研修プログラム支援塾

 通称・血液形態学駅前塾の開催:新規会員へご案内しています:平成23年 9月 3日

  駅前塾会員と発起人(HP管理人)との情報交信の記録ページを設けました。

< ICTシリーズ I >           ICT:末尾に脚注(*)

<2011/08/21 (日) 22:27>

血液形態学・駅前塾 各位 

駅前塾会員との交信「第30回企画について」

 中竹 俊彦です。

 すでに第1報でお知らせしましたように、第30回駅前塾は8月27日(土)6:00からです。

 企画テーマは、会員からのご希望事項が来ていませんので、当方で準備中の、

1)「ATLの不思議さへの自問自答(nakatake)」

2)「薬剤について知っておきましょう・その4:抗体製剤-(その2)」です。

 今回の薬剤は、リツキシマブ(リツキサン):マウス由来の次に、新規開発されてきたCD20 モノクローナル「ヒト抗体」の話題です。

 B細胞系統に対してリツキサンとは別の抗原決定基(CD20 でも別位置)に結合すること、ヒト抗体(遺伝子導入による)となったので完成度が高いことにも期待されている情報です。

 また、今回は付帯情報としてこのメールに添付した「倉敷・形態アンケート関連資料」という情報は、先の日本検査血液学会(倉敷:終了しました)で、その形態カンファランス(形態判断アンケート)への私見を画像とともにコメントにして皆さんへ送ります。

 皆さんの日常的な「自己研修」へ向けて、何らかの刺激になりましたら、幸いです。ワードファイルで情報量が2.73MBと非常に大きいので、各位のPCではセキュリティーのために受信できない例(着信拒否)が出てくると思います。

 もしも、着信拒否となった際にも、ご必要なときはメールください。4つの症例を個別に4分割して、1例ずつの添付送信での対応を考えます。

<2011/08/21 (日) 23:38>

中竹俊彦 先生

 いつもお世話になっております。JTです。勉強会の企画内容拝見いたしました。

1)「ATLの不思議さへの自問自答(nakatake)」

 ATLというのは、確かに不思議な点が多いと自分でも感じております。

 まず、起源がアフリカのモンゴロイドではないかという説があり、九州・沖縄・アイヌ人に多いなど。確かに顔の骨格は似ている気がしますが一体どこまで真実なのか自分も分かりません。でも興味深いです。

 なぜ、フラワー様に核がくびれるのか。ペルゲル核異常のリンパ球バージョンか!?

 ATLといっても4パターンほどに分類されて多様であること。濾胞性リンパ腫やDLBCLはある程度進行速度が把握されているのに・・・。

 新幹線や飛行機などの交通網が発達していて日本全国行き来出来るのに、まだ地域特異性が強いなど、以前から気にはなっていましたが、答えが見つからない状況が続いています。

2)「薬剤について知っておきましょう(その4:抗体製剤-その2)」について

 薬剤については、自分から聞きにいかないと情報が得られないという状況は続いております。そのため、このような場でお話が聞けるのはとても勉強になり嬉しいです。

「倉敷・形態アンケート関連資料」について

 1、2、3症例までは自分が考えていたことと先生のご意見とが一致していて、ほっとしました。4症例目について、すでに写真もなく記憶も薄れてしまって申し訳ないですが、結果が異なってしまいました。僕は、リンパ腫かなと当時思いました。

 標本引き終わりに大型の分類不能の芽球様細胞:PO(-)が少々あり、どちらかというとリンパ系と思われる細胞であろうと自己判断しまし。RCMDですと顆粒球系には異形成がみられますが、巨核球系にも異形成を指摘しなければいけないのかなと思い、別のことを考えてしまいました(巨核球に形態異常があったかは忘れてしまいました)。

・・・そうすると、血小板はなぜ少ないのかという問題(疑問点)が発生します。もしも、血小板系に形態異常がないのなら、血小板減少は末梢血における破壊亢進によるものと考えられないのでしょうか。今悩むなら、学会会場で先生とディスカッションしておけばよかったと後悔しております。

<2011/08/22 (月) 13:15>

JT 様 

 中竹 俊彦です。送信テーマに対して、強い興味・関心を示して返信メールを頂いたので、「有効打(ヒット)」と感じます。そして、貴君はATLについて興味が尽きない、今後も続くということも文面から受け止めました。

 1)私の知る範囲で、日本人の「起源」について医学領域から考え方を示した学者は、HLAタイピング(免疫学)の専門家とATLVのウイルス学専門家の2名の先生方がいます。前者は十字猛夫先生、後者は日沼頼夫先生です。

 世間の「日本人の起源」などに関する本は、考古学者か人類学の学者ですから、上記のお二人は現代の日本人のHLAタイピングまたはATLA(HTLV-1)とその抗体の綿密な調査データから「疫学的な観点」で書かれた情報です。

 2)花びら状の核形体変化は、今も説明は難しいのですが、理科大のグループが「核の形態変化の背景に関する秘密」について、情報を出していました。私の異型リンパ球に関するppt解説資料にも、その核形態の関連事項を記述していると思います。

 3)ATLV感染リンパ球は1種類だろうと考えると、病態の多様性が理解しにくくなります。また、腫瘍化の直接原因となる因子が未確定なので、もうしばらく究明に時間がかかると想像されます。

 一方、感染リンパ球が腫瘍化へ向けて変異していく経過中に、分かっているだけでも多様な分子を順次、時系列で産生・分泌し、その発現分子の特性をATL細胞自身も利用すると、全身の多様な位置に定着できる不思議なグループが出来ているようです。それらが神経・脳・皮膚・リンパ節その他、住み着いたところで生きている間に、諸症状を異なった時期に、あるいは異なった病態的に発現するようです。

 4)私の自問自答はその中の、なぜ「ATLでは皮疹が好発するのだろうか?というところです。そこ(皮疹)に血管の増生が著明という生検組織標本の病理学的所見が情報源です。

 きっと、ATL細胞がVEGFを産生するのではないか?と30年近く自問してきて、ようやく答えが見えてきました。やはりVEGF産生が秘密の鍵でしたが、時代もここへ来て少し説明が付きました。

 5)日本検査血液学会のアンケート症例1,2,3,4はどういう病態である、という説明がきっと会場であったのでしょう(推定ですが)。けれども、私はそこへ参加しておりませんから、そのうち学会の「HM」氏にそれとなく聞いてみます。

<2011/08/22 (月) 19:25>

中竹 俊彦 先生

 ATL症例の標本は観察者が細胞だけみれば、「見て終わり」。とういう方々もいるかと思います。

 でも、その背景をいろいろ考えてみると、分からないことだらけなのですよね。先生の返信を拝見しまして、いまだ分からず、謎に包まれていることが多い、と分かったことが収穫でした。

 日本検査血液学会の「症例1、2、3、4」については、自分もOさんも骨髄検査技士の話を聞いていたので、これらの所見解析が分からない状態で心配です。もし情報が入りましたら教えて下さい。よろしくお願いいたします。

 ところで、雑談(的)になりますが、

1)フラワー細胞のくびれも不思議ですが、M3の形態異常も特徴的な「くびれた核」ですよね。何であんなにくびれるのか、不思議です。

2)花弁様細胞「フラワー セル;花細胞」や涙滴赤血球などについても、形状を言葉でうまく表現しているなといつも感心してしまいます。

 しかしながら一方では、teardrop cell ってとてもかわいい名前だったのに何で表記を変えたのか、少し残念です。

<2011/08/22 (月) 22:00>

JT 様 

 まさに、ATL細胞は誰でも「見て終わり」でしょう。

 また、涙滴赤血球に対しては、別名としてdacryocyteというのもありました。dacryoとは「涙の」という意味です。涙細胞では変だし、外国人でさえ、teardrop cell も好き好きでしょう。日本語表記で言うと、「イチジク型」でも当てはまるし。

 形態学の権威の先生は昔、どの用語を日常使われたかで「右へならえ」が学派(閥)では基本でしたから。白い巨塔の時代には、その先生の言いつけどおりで来た次第でしょう。

 核の形態変化の多様性は、もっと複雑で、用語が当てはまりませんから、現代の血液学でも言葉の形容(詞)が決まっていない状態ですね。フラワー細胞も「クローバーリーフ」だって当てはまるし、好きなら「スイバ(オキザリス)の葉」でもいいし。

 ついでながら「オキザリス」というのは雑草で、どこの庭先にでもある四葉の小さな草です。シュウ酸(オキザリック アシッド:シュウ酸)を含むので、その元になった用語です。花屋に行くとオキザリスも現在では赤・白・ピンクなど、多彩な園芸品種もあります。葉が藤紫色でいかにもATL細胞の核の形態・色まで非常に似た品種もあります。

 きょう、顕微鏡を全て学園都市センターから引き上げてきました。どうも会員の皆さんは顕微鏡設置までは期待していないと判断して、今後はPC画像だけでも可能という判断材料です。

<2011/08/22 (月) 23:47>

中竹 俊彦 先生

 会場には顕微鏡があれば、Oさんに巨核球の分類を聞いたり、リンパ腫の骨髄浸潤をどうとらえるか、標本を使ってお聞きしたりできると思っていたのですが・・・。

 新しい勉強会の会場に顕微鏡が保管できないという問題も一部あるかと思いますが残念です。

 PC画像では実際の標本観察の感覚と「ずれがある」ので、実は苦手なのです。よくある血液検査学の勉強会でのPCを使った細胞当て(鑑別)は外れることが多いです。

 僕もOさんも、ようやく細胞について語り始めているので、また機会を見繕ってディスカッションしたいです。

<2011/08/23 (火) 11:38>

JT 様

 中竹 俊彦です。

 私は最下段の第1送信で名前の出てくる方々へ送りました。ところが、私流の勝手な定義をしますと、こういう情報刺激で活性を得る「自力応答刺激(autocrine stimulation:オートクライン スティムレーション)」が3回続いたのは貴君のみです。

 情報の共有というのは、このように「情報交信」すれば、互いの認識・情報が相互に共有できます。そのためには、情報交信(または、交換)の技能「情報交換技術:infomation communication technology;ICT」の土台が必要です。血液検査の仕事などにおいてその形を当てはめてみると、骨髄の精密検査(骨髄精査)で何が見えているかを「具体的に報告できる」という場面に相当します。

 私と貴君との「この8月;30 回開催企画案内」へ向けた「交信状況」はちょうどその形に当てはまります。したがって、貴君からの「会員へ転送を了承」が得られればこの後、血液形態学・駅前塾の各位へも「転送」して情報を共有し、他力刺激(paracrine:パラクライン)を起こさせたいと思うのですが、快い返信を期待します。

 ATL細胞とは、オートクライン刺激応答の特性を持つために、ヒトにとっては悪役ながら、生き続けるのです。

 ATL細胞は「継続は力なり」を自ら生命現象として獲得しているので、オートクラインの特性を生かしているのです。

脚注:情報交換技術(infomation communication technology;ICT)

<2011/08/23 (火) 23:05>

中竹 俊彦先生

 先生からのご依頼である、この「8月;30 回開催企画案内」へ向けた交信状況の「会員転送」については、了承いたしました。今回に限らず、必要ならばご自由に転送して下さい。それが、皆さんを刺激して活性化に役立てば幸いです。

 それとは別に、僕自身がちゃんと生きていますよ!!と、皆さんへの近況アピールにもなりますしね。

 顕微鏡については要検討ですね。ほしい気持ちはとても強いです。ただ一人暮らしの家に保管は置く場所に困る(5人用はさすがに大きいです)というのが本音です。

 理想は、SN先生がいる間はどこかに保管していただき、その後引き取るなど少し時間がほしいところです。

(この交信<I>終わり)

 どうぞふるってスタッフを通じてご相談、ご参加ください。

 今後、この通称「駅前塾」の状況は、ホームページhttp://www.kyorin-u.ac.jp/univ/user/health/blood/から「研究室について」をクリックして、「駅前塾のページ」から見ることが出来ます。質問・要望・ご意見などは以下へ送信してください。

→「修正・更新しました( nakatake@kdt.biglobe.ne.jp :メールソフトを先に立ち上げて、そのあて先欄(アドレス部分)には、コピーしてあて先欄へ入れてから、アットマークを半角に変更してください)スパムメール対策として更新しました

  (頒布いたします)

入手方法の問い合わせ→「修正・更新しました( nakatake@kdt.biglobe.ne.jp :メールソフトを先に立ち上げて、そのあて先欄(アドレス部分)には、コピーしてあて先欄へ入れてから、アットマークを半角に変更してください)スパムメール対策として更新しました