心臓血管外科専門医を志す専攻医の皆様へ

いよいよ新専門医制度の下、外科専門医制度と連動した心臓血管外科サブスペシャリティ修練プログラムが始まります。
一施設で心臓血管全分野を経験することがなかなか難しい本邦の現況を鑑みますと、多施設で一つの教育単位を形成することは、現状に即した制度と言えましょう。
私達は、地域性も考慮した上で、8施設、修練指導者 22名、心臓血管外科専門医41名で構成される修練施設群を形成いたしました。
総じて3,000例弱の全分野に対応した心臓血管外科症例を有しています。
「広い分野にわたり、最新の技術、均質で安全な心臓血管外科医療の提供ができる専門医」を目標として、皆さんのニーズにも十分配慮した上で、これらを存分に学んでいただきたいと考えております。

是非共に学びましょう。

 
2021年11月  
 修練統括責任者       
杏林大学心臓血管外科
  窪 田 博 

 

 

 

はじめに

日本専門医機構が主導となった新専門医制度による専門研修プログラムが2016年卒業、かつ、初期臨床研修終了医師に対し開始となりました。

外科医を目指す医師に対し、3年間の外科基本領域研修(外科専門研修)を基幹施設を中心とした連携施設にて研修施設群を形成し、その群内で外科専門医を体系的・規定期間内の育成、かつ、専門医試験資格を獲得させる専門研修プログラムが始まっています。

外科専門医獲得後は、各臓器別の外科研修(サブスペシャリティー研修プログラム)へstep upし臓器別の専門医獲得が必須となります。

 

 心臓血管外科領域における専門研修(修練)が、2022年より外科基本領域研修とほぼ同様の様式で施行されることになりました。

 基幹施設の1つが修練統括施設となり連携施設(関連施設 and/or 他基幹施設)と修練施設群を形成し、その群が有する研修プログラムを受けることにより、連動、または、単独型の選択にて修練終了時期はことなりますが、規定期間内に専門医試験資格、および、必要な経験をつみます。

 過去の修練では、経験症例の数、および、種別に大きな偏りがありました。しかし、施行される研修プログラムにおける修練施設群形成条件に(1)先天性心疾患、(2)成人心臓・胸部大血管、(3)腹部・末梢血管、(4)血管内治療 の4領域が全て網羅されており、研修終了時点において心臓血管外科領域の全体を広く、かつ、十分に経験できるように是正されています。

 

 新専門医制度のサブスペシャリティー研修プログラムは、専門医獲得後も更なる心臓血管外科の高次専門性にかかわらず、この領域のおいて広く社会、および、患者様に貢献できる人材の育成を目的としています。

 

サブスペ領域研修のoutline

 

 

  ・単独型は卒後6年目より、連動型は卒後4年目より3年間のサブスペ領域研修

 (心臓血管外科修練)を受け、単独型は最短で9年目、および、連動型は7年目に

  心臓血管外科専門医試験に対する受験資格獲得。

   ・心臓血管外科修練期間は最長で修練開始後10年未満(最短3年・最長9年)であり、

  また、修練終了後5年以内に専門医資格獲得が規定事項となっています。

 

 ・心臓血管外科修練期間内(最短3年間)に要する専門医受験資格:

   ⑴ 外科専門医である。

   ⑵ 専門医認定機構における手術経験

     ① 術者: 50例以上

     ② 第1助手: 50例以上

     ③ 総点数: 500点以上

   ⑶ 論文3篇;筆頭演者1篇以上

   ⑷ 学会発表;筆頭演者で3回以上

   ⑸ 学会参加;3回以上

   ⑹ セミナー参加;3回以上

   ⑺ 医療安全講習受講;2回以上

   ⑻ Off-job training;30時間以上(人工心肺操作;5症例以上)

 

現時点での心臓血管外科専門医受験資格要項の修正はアナウンスされておりません。

新専門医制度によるサブスペ領域研修への制度移行、および、施設群形成による群内での修練は、➀心臓血管外科領域全般に至り疾患の偏りない経験、②規定期間内での専門医資格獲得、③体系的に修練された医師の社会貢献 が目的であると考えられます。