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高齢医学とは?

高齢医学教室は、杏林大学の中でも主に高齢者に多い疾患を中心に診療及び研究を行っている部門です。臨床科目として「高齢診療科」を持ち、全国の大学病院老年科では最も多い入院病床42床を有しているため、高齢者の内科系疾患はなんでも診るという姿勢で診療にあたっています。特に病診連携や救急外来を介した緊急入院の比率は高く、総合医として臨床力が必要という点で、他の老年科とは異なっています。
一方、術後合併症の管理やリハビリテーション、退院支援目的の院内転科が多いことも特徴で、いわゆる老年症候群(高齢者特有の疾患・症状)に対して高齢者総合的機能評価(認知機能、日常生活活動度、気分、意欲、社会的環境などをチーム医療により評価)、嚥下機能評価、栄養療法などトータルケアを実施し、一般内科とは一線を画しています。

また外来診療では、全国でもいち早く高齢者総合的機能評価を外来診療に取り入れたもの忘れセンターを持ち、認知症の治療予防の他にも転倒予防外来や非侵襲的な動脈硬化検査を実施している動脈硬化外来が特徴です。もの忘れ外来、転倒予防外来では、もの忘れの早期予防、転倒予防のために、日常生活、栄養、体力、柔軟性、バランスなど幅広く、生活関連の検査をします。これを高齢者総合的機能評価といいます。保険で認められていない多くの検査も、無料で実施しています。病気の治療だけでなく、いきいきとかくしゃくとした生活が送れるように、患者さん本人と御家族の生活指導をし、相談に乗っております。その他、ADL(日常生活活動度)の低下した外来患者も多く、要介護認定のための主治医意見書作成やデイケア、デイサービスへの誘導を積極的に行っています。

高齢医学の特殊外来

当科では、通常の高齢診療科外来のほかに以下のような特殊外来を行っております。

高齢医学の対象疾患

外来では慢性疾患である認知症、骨粗鬆症や糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化性疾患の治療を主に行っています。
入院では、主に高齢者に多い肺炎(特に慢性呼吸不全や嚥下障害を合併したもの)や尿路感染症、心不全、心房細動、及び原因不明な発熱や貧血などの急性疾患の精査加療を主に行っています。その他に糖尿病コントロール入院や正常圧水頭症の精査入院も行っております。

当科の特色として、総合的機能評価(疾患評価,ADL,IADL,認知能,ムード・意欲,社会的背景)と機能回復のためのリハビリテーション・行動療法を実施しています。
例えば、誤嚥性肺炎で入院した方が、入院前と同じ生活の質(QOL)を回復し 在宅療養を可能にすることを第1目標として介入を行っていきます。また生活習慣病や未病(病気と診断される以前にリスクの多い状態)に対し、高度な先進的検査及び診断を行ない、健康教育を行なっています。