現実となった超高齢社会において、今ほど老年病専門医が必要とされる時代はありません。
高齢者医療は75歳~85歳、それ以上ではアプローチ方法が異なり、加齢による変化や社会的背景を念頭においた診療をすることが大変重要になります。
杏林大学高齢診療科は高齢者診療のパイオニアとして、高齢者総合機能評価(Comprehensive geriatric assessment; CGA)をはじめとして、ポリファーマシー、フレイル、認知症、転倒、誤嚥・摂食問題など、今でこそ耳慣れた高齢者特有の諸問題に、以前から真摯に取り組み、情報を発信してきました。
当教室では、これらの諸問題に対して、十分な理解と経験を積み、一臓器を診るのではなく常に他の臓器との連関や、一人ひとりの認知機能やADL、社会的背景(介護状況など)などを統合して考えることを常として診療する、アクティブラーニングを推奨し、実践していきます。
また、当科が運営している認知症疾患医療センターは、東京都指定の12箇所の地域拠点型認知症疾患医療センターの一つとして、三鷹市・武蔵野市を中心とした近隣6市と連携し診療にあたっています。この地域の認知症診療の拠点として、鑑別診断をはじめとして適切な認知症診療技術を体得し、認知症専門医を取得することを目指します。
現在の超高齢社会のなか、上述の認知症診療を含めた高齢者診療は地域の基幹病院勤務を考える先生方、地域に根差した実地医家を目指す先生方には、必要とされる診療技術です。また、研究を志向する先生方は大学院生として、まだ未解決の高齢者診療の諸問題に取り組み、問題提起と提案への提案を行っていきます。
初期研修によって得た内科の基礎知識を基盤とし、老年病専門医の知識と実技の習得を行います。具体的には、以下の7項目を目標としてます。
高齢診療科に入局するには、2年間の初期臨床研修を当院もしくは他施設で終えている必要があります。その後杏林大学医学部付属病院の人材育成プロジェクト(後期臨床研修)プログラムの一環で後期レジデントとして入局、もしくは大学院に入学する形になります。当院での初期研修および後期研修については総合研修センターのページ、大学院については杏林大学::大学院医学研究科のページをご参照ください。
当科の後期臨床研修及び大学院の担当者は以下のようになっています。お問い合わせは下記のメールアドレスまでメールをいただくか、お電話で担当者を呼び出していただきますようよろしくお願いいたします。
多くの女性医師は、医師としてのトレーニング時期と、出産育児という女性として人生のなかで最も多忙な時期を時期に迎えるため、医師と家庭の両立という難しさがあります。
杏林大学病院では、産前産後休暇・育児休暇と共に、女性医師復職支援制度(短時間常勤枠)を設けています。週3日または4日の定時勤務と当直免除が特徴です。育児をしながら勤務を続けたい場合は、本制度を利用しながら自分の人生をデザインすることができます。
高齢診療科では、カンファレンスや勉強会を就業時間内に設定することで時間外業務を極力減らし、育児中の女性医師も平等にキャリアアップできるようサポートしています。これらの取り組みにより、当科は女性だけでなく男性医師も積極的に育児に関わることができます。
また、当院は三鷹市病児保育施設「ポピンズルーム杏林」(認証保育施設 ポピンズナーサリースクール三鷹に併設)を三鷹市と共同で開設しています。
当科は高齢者、特に後期高齢者を診る診療科ですが、育児と介護問題はどこか共通する点も多く、女性に適している診療科であると思われます。(英国の女性医師Dr.Wallenは、「老年医学の母」と評されております)。
高齢診療科には上述の制度を利用しながら、仕事と家庭とを両立している先輩女性医師が多数おります。長い人生設計を考えたとき、長く続けられる診療科として考えてみてください。