>> レジデント向けの情報 > 研修後の進路

大学院

2年間の初期臨床研修終了後に大学院に入学することができます。当科大学院に入学した場合、最低1年間は後期臨床研修と同等の研修を行いながら研究のテーマを相談していきます。3年目以降からは病棟チームを離れ、研究に専念することになります。
大学院では興味のある領域を自ら選択し、それに応じて具体的テーマを教授や指導スタッフと話し合って決定します。当科では基礎研究も行っておりテーマも選択範囲はかなり広汎です。またテーマに応じて他の研究施設に出向する事もできます。

詳細は杏林大学:大学院医学研究科:内科系専攻高齢医学分野のページをご参照ください。

認定内科医と各専門医取得

当科では、後期臨床研修中に日本内科学会の「認定内科医」取得を積極的に支援します。
認定内科医取得に必要な症例は、当科入院患者についてはデータベース化された入院病歴から作成することができ、各症例につき上級医が指導を行います

認定内科医を取得後は、日本老年医学会の「老年病専門医」の取得を目標とします。
そのため後期臨床研修後も当院を含む日本老年医学会認定施設に勤務し、研修を継続します。更にその後引き続き5年勤務を継続することで「老年病指導医」取得の資格も得ることができます。

また当科のもの忘れセンターでは、東京都が指定する認知症疾患医療センターとして認知症の診療を行っており、ここでの勤務を経て日本認知症学会の「認知症専門医」を取得することもできます。その他の各専門領域の専門医取得にむけての支援も行っており、取得に必要な症例の経験のため外部の病院への勤務なども支援しています。

在籍認定医・専門医・指導医数
(2019年)
資格人数
日本内科学会 認定内科医27名
日本内科学会 総合内科専門医11名
日本内科学会 指導医7名
日本老年医学会 老年病専門医18名
日本老年医学会 指導医10名
日本認知症学会 認知症専門医16名
日本認知症学会 指導医14名
認知症サポート医4名
日本消化器内視鏡学会 専門医2名
日本消化器病学会 専門医1名
日本循環器学会 循環器専門医3名
日本未病システム学会 未病医学認定医2名
日本神経学会 専門医1名
日本神経学会 指導医1名
日本臨床栄養学会 認定栄養臨床医1名
日本臨床栄養学会 認定栄養臨床指導医1名
日本動脈硬化学会 動脈硬化専門医1名
日本動脈硬化学会 動脈硬化指導医1名
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリケア認定医2名
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリケア指導医1名
日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医1名
精神保健指定医1名

後期臨床研修後の進路

杏林大学医学部附属病院に継続して勤務する際は、「医員」または「専攻医」となります。また外勤は引き続き行い、収入等に格差が無いように配慮します。
臓器別の専門的知識や手技の研修のため、後期臨床研修時の外部研修病院を中心に、各自の興味ある施設への1~2年間の派遣を予定しています。

病院の女医復帰支援制度を活用し、出産や子育てなどのライフイベントを考慮した勤務・研究スタイルを相談できます。
ご自身が診療所や病院を継承・開業される場合は、その診療機関との連携についても検討することができます

大学院及びスタッフとなり学位を取得する前後に、国内外への留学を選択する事もできます。

医局出身者のご紹介

高齢医学・高齢診療科の出身者は、日本各地で地域医療を支え、診療所・病院を継承・開業するなど様々なキャリアを歩んでいます。また、大学病院での診療の有無にかかわらず相互の診療協力や患者さんの紹介、学会や忘年会、SNSなどの機会を通じて交流し綿密に連携しています。


杉山陽一(2000年入局)
現職:医療法人社団 永生会 特別顧問・医療教育サイトFUNMED 代表・国立職業リハビリテーションセンター 医療情報助言者・日本医療機能評価機構 診療サーベイヤー・杏林大学医学部同窓会 理事・m3.com コラムニスト/エキスパート
コメント:都内病院で勤務する傍ら、医療機関の運営補助、医療教育サイトの代表、就労支援・障害者雇用のナショナルセンターでの職員教育・相談応対、などを行っております。またm3.comをはじめ、複数のメディアで連載・執筆活動を行っています。
医師もパラレルキャリアの時代。その礎となる期間は、領域にこだわらず、幅広く学ぶべきです。優れた指導医のもとでジャンルにとらわれない幅広い診療を学ぶことができ、国内屈指の研修先・留学先を持つ高齢診療科は、これからの医師のキャリア形成にマッチした理想的な医局といえるのではないでしょうか。

菊地令子(2001年入局)
現職:医療社団法人 一白会 菊地脳神経外科・整形外科
コメント: 現在、地域に密着した脳神経外科診療所に勤務しています。
脳神経外科を標榜しているため認知症の方を拝見する機会が非常に多く、もの忘れセンターで経験した専門的な認知症診療をはじめ、他職種との連携や介護保険制度への理解が非常に役立っています。
また内科医として加齢とともに増える多様な疾患を診療することも求められるので、分野にとらわれず患者さん一人をまるごと診療できることの強みを感じます。

小林義雄(2001年入局)
現職:医療法人 仁成会 とやの中央病院 理事長(事業継承)
コメント:高齢医学/高齢診療科で高齢者の認知症診療や研究協力をしながら、現職では介護施設を利用されている高齢者の診療と法人経営も行っています。大学で学んだ様々な疾患の高齢者の診療と他科医師や他職種の連携は、現在の地域法ケア病床や療養病床と介護施設で要介護高齢者の診療を行う上で欠かせないものであることを実感しています。
また大学で診療をする上で得られた診療制度や介護保険制度に関する知識と経験は、病院や介護施設の経営をする上で非常に有用で、他科ではなかなか学べないものであると思っています。

園原和樹(2002年入局)
現職:医療法人社団 敬仁会 桔梗ケ原病院 病院長
コメント:大学では、高齢者を診る医師はジェネラリストである必要があることと、疾患に加えて老年症候群を認める高齢者に対応するには病気ではなくそのヒト全体を見る視点が必要があることを学びました。
大学病院を離れて地域医療に携わると、患者全体を診れることが何よりの助けとなりました。また認知症は高齢者と密接に結びついている一方で、神経内科・精神科・老年内科と専門科が複数またがり、系統的に学ぶ場もなかなかないため、高齢者の終末期医療、せん妄対応、認知症診療を学べたことは強みであると思います。
反対に、いざ地域医療の現場に立つと、一般内科疾患の知識を系統的に学ぶ機会が少なくなり、自分の限界が即病院の限界となる可能性があるため、大学で高齢者の救急外来対応、急性期~慢性期疾患の診療を学ぶことが重要だと感じています。
患者を治す医療は他の診療科でも経験できます。しかし、人生の最後の段階で、ヒトとして患者に向き合い、患者本人に納得して人生を全うしてもらうことができるのは高齢医学を学んだ医師であると思います。
私は医師駆け出しの時は「人生の最後の段階で患者に必要となるのは医師ではなくてお坊さんである」と思っていました。医師になって多くの時間を高齢医学とともに歩んだ今は、人生の最後を過ごす患者を支えるのは自分でありたいと考えています。

塚原大輔(2002年入局)
現職:つかはら内科クリニック 院長
コメント:大学では高齢者の救急外来対応から急性期・慢性期疾患診療、終末期医療までを経験し、他科や他職種との連携や介護保険制度を学ぶことで、患者さん一人一人にあわせた治療を行うことの大事さを学びました。ここで学んだことはクリニックの診療で非常に役立っています。 色々なことができる懐の広さをもった教室だったので、アカデミックな知識をアップデートできるように医学論文の理解をもう少し学んでおきたかったと思っています。

竹下実希(2003年入局)
現職:特定医療法人 竹下会 竹下病院
コメント:高齢医学/高齢診療科では、高齢者の救急外来対応から急性期・慢性期疾患、終末期医療のみならず、認知症の外来診療や訪問診療、介護保険制度や医療保険制度の理解を学べたので、現在の職場で在宅、慢性期、急性期のいずれにおいても対応ができるようになりました。
ここまで幅広く高齢者診察にかかわるために必要な技術や姿勢、態度は他では学ぶことができず、臓器別とはまた異なった専門性の高さを実感しています。

鈴木訓之(2003年入局)
現職:島田市立総合医療センター
コメント:現在、地域医療を行う総合医療センターに勤務しております。高齢者を診療する機会が非常に多く、大学で経験した高齢者の救急外来や急性期~慢性期疾患診療、他診療科・他職種との連携、治療方針に関する話し合い等が日々の業務に役立っていると感じます。また、高齢医学教室に入局し良い雰囲気の中で高齢者診療を学べて良かったと思っています。
ただ認知症を有する患者様も多く、認知症診療やせん妄、介護・医療保険制度に関して大学でもっと学びたかったと感じることもあります。

守屋佑貴子(2003年入局)
現職:医療法人社団 慶成会 青梅慶友病院
コメント:今は慢性期主体の病院に勤務しており、高齢者の認知症を含む慢性期疾患全般の診療から終末期医療、せん妄対応、診療、他診療科・他職種との連携などを行っています。
大学では臓器別でない診療の在り方、高齢者に適した治療方法の選択などに加えて、認知症の対応なども学べたため、身体的・精神的なケアを包括的に考えられるようになったと感じています。

里村元(2008年入局)
現職:医療法人千秋会 里村医院 副院長
コメント:祖父と父が開業していた影響もあり、地域医療に携わりたいとの思いで医師になりました。大学では高齢者の急性期~慢性期医療に加えて認知症診療や訪問診療、医療介護制度や多職種連携について学び、今は地元の診療所で高齢者の全身管理のみならず、小児まで診れる地域のホームドクターを目指して頑張っています。
高齢化が進み認知症や介護の問題が更に大きくなってくる中で、様々な病気を抱えている高齢者を臓器別に診るのは難しく、認知症や寝たきりなどの問題を多数抱えていることも珍しくありません。高齢医学/高齢診療科は、開業を目指している先生にとって非常に多くの事を学べる科だと思っています

田中政道(2008年入局)
現職:医療法人社団 田中医院 副院長
コメント:現在診療所で勤務していますが、診療所レベルでの初期治療・対応の可否、専門科・大病院への連携のタイミング、専門科・大病院から当院へ帰院した後の治療継続など、高齢医学/高齢診療科で学んだことが非常に役に立っております。また医局から出向した先で上下部消化管内視鏡を学び、今でも上部消化管内視鏡検査を行っております。
各臓器疾患の治療だけではなく、他職種との連携を行い、医療に対しての広い視野と知識を持ち、在宅や往診で総合的に医療を進めていける医師のニーズが高まってきていることを、日々の診療の中で実感しています。そういったニーズに応えられる高齢医学・高齢診療科は、将来開業を考えている先生方に最適な医局なのではないかと考えています。

小原聡将(2009年入局)
現職:岩手県立中部病院
コメント:今は地域の中核病院の総合診療科に所属し、救急部門の一部と複数の診療科にまたがる分野(不明熱や内分泌疾患、電解質異常など)の診療を行っています。大学で学んだ高齢者の急性期~慢性期の総合診療をさらに拡げる形でスキルアップできたので、今までの経験が診療に活かせていると感じることが多いです。また感染症分野・栄養サポート分野にチームの一員として関わる事もあり、他職種連携の経験も非常に役立っています。
高齢者の診療というと慢性期のイメージが強いですが、高齢者という専門性に加えて幅広い急性期疾患全般を診ることができる医師のニーズは非常に高いと感じています。

三ツ間小百合(2011年入局)
現職:医療法人社団 大和会 大内病院、他
コメント:高齢者の診療では、「一見繋がりがないように見える複数の病態が一つの病態に起因することがある」ため、ひとつひとつを切り離すのではなく、どこかに繋がっていないか他の原因を常に探す習慣が身につきました。
また、意思決定に何らかの支障がある高齢者がたくさんいるということも強く実感しました。その中で患者さんとそのご家族が幸せに人間らしく過ごすためには、本人家族と医療者・介護者間でのコンセンサスが非常に重要でありことを大学で学びました。
高齢者の診療には、身体だけではなく、こころも診る大切さ・楽しさがあると思います。患者さんの生活を支えている実感が多く得られ、そして多くの患者さんから「人間らしく生きるとはなにか」をたくさん教わることができるので、少々哲学的かもしれませんね。

山本茜(2013年入局)
現職:医療法人社団 千葉秀心会 東船橋病院
コメント:東船橋病院の臓器別になっていない内科に所属して、入院診療や訪問診療を行っています。ここでも高齢の患者さんを担当することが多く、大学で経験したいろいろな疾患の急性期疾患診療や終末期医療、せん妄対応、他職種との連携などの経験が役に立っています。認知症診療も行っていますが、大学でもっと認知症の外来フォローを経験しておけば良かったと思うこともあります。

関連施設一覧