中竹俊彦 リンパ球の世界(IV)-リンパ球形態の各部の意味(2007)-9.核のDNAの安定性と突然変異

リンパ球の世界(IV)

 リンパ球形態の各部の意味

9.核のDNAの安定性と突然変異

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 細胞の核は、休止期の核が最も化学的にDNAは安定です。白血病治療薬も休眠期の白血病細胞には無効とみられています。

 一方、細胞分裂周期のS期にある細胞は、核のDNAを合成し、このとき放射線、ウイルス、化学薬品の悪影響が核のDNAに傷害を与える恐れがあります。その結果、細胞の分裂・分化・増殖において、S期では突然変異が発生しやすいとみられています。

 一方、若い細胞では、核のDNAの合成過程で生じたミスを修正する能力が高いとみられます。幹細胞においてさえも、少しずつ分化を経てきている幹細胞の範囲であっても老化した生体の細胞では、修正機能がやや低いと考えられます。いくつかの異常が重なって、特定遺伝子に修復不能(不可逆的)な傷害が発生します。特定遺伝子の活性化を分子レベルでみるために、すでに遺伝子増幅という手法で技術的に完成度の高い方法が実施されている時代なので、ここでは述べません。

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 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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