中竹俊彦 リンパ球の世界(IV)-リンパ球形態の各部の意味(2007)-19.リンパ球のクロマチン量(DNA量)の増加

リンパ球の世界(IV)

リンパ球形態の各部の意味

19.リンパ球のクロマチン量(DNA量)の増加

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 クロマチン量の増加の判断は、活性化されていないと思われるリンパ球の核の大きさと、それが染色された濃さを基準に、対象とする細胞を比較して、訓練すればできると思います。具体的な例は、基準となる健常人リンパ球は新生児乳児の末梢血リンパ球(抗凝固剤を加えてない直接塗抹標本)を念頭に置くとよいでしょう。

 核のクロマチン量が静止期の細胞よりも多いと判断されるならば、その細胞はDNA合成が終了すればいずれ細胞分裂すると推定できるか、または過剰な染色体数のために大きな核となりクロマチン量の増加になったか、もしくは4倍体の異常な細胞という判断基準に該当するでしょう。

 クロマチンの基準となる量(核の大きさと染色された色の濃さ)は、本稿で新生リンパ球として位置づけたリンパ球が適切です。これに対し大型の異型リンパ球や悪性リンパ腫細胞は、健常人のリンパ球と比較するために、一度は精密にスケッチして、上記のように基準となる量をイメージしながら比較してみると(量の多さが)確かめられます。厳密にはクロマチンを蛍光染色して、蛍光顕微鏡を応用した測光装置によらなければなりません。これを自動化したものが、いわゆるフローサイトメトリーです。

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 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

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