リンパ球を追う(シリーズV

リンパ球の世界(V)

 リンパ球系の核小体形成体・AgNOR

     AgNOR染色した画像への解説

4.定型的な形質細胞(画像No.011→提示画像4)

                        杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 画面中央の細胞は、形態のみでは定型的な形質細胞と区別不能といえます。

 この1個の細胞だけを見ると、正常な形態とみて問題がなさそうなのです。ところが、核小体が十分に大きく、なぜここまで成熟した形質細胞がいつまでも核小体を温存しているのかという疑問に気づいた場合には、他の形質細胞も検索・観察してみて、まさに「正常か、異常なのか、自問自答」しなければなりません。

 さて、ここからは、観察者はある種の責任がいくつか伴います。その責任の第一は、上記の自問自答でしょう。

 形質細胞になる過程での腫瘍化は、形態学的にはリンパ形質細胞様細胞(lymphoplasmacytoid cell)を越えた位置から定型的な形質細胞の形態の範囲まで、症例によって分化位置が異なり、また経過中にも染色体異常が付加的に生じ複雑化して、形態変化が生じるという特性があります。

 Mタンパクも症例間では量が異なります。Bリンパ球の形態に近いものでは非産生型やBJPのみのタイプ、さらには核周明庭の広い(ゴルジ野の発達した)例はMタンパクも5,000mg/dlを越える場合(TPが 10g/dl以上の例)もありえます。

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 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

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