リンパ球を追う(シリーズV

リンパ球の世界(V)

 リンパ球系の核小体形成体・AgNOR

     AgNOR染色した画像への解説

7.形質細胞の集団(cluster;クラスター、集塊6個(画像No.013→提示画像7)

                        杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 (問題点:高マクログロブリン血症にふさわしい所見か、それとも多発性骨髄腫multiple myeloma;MMかどうか?)

 画面中央の細胞群は、形質細胞の集団(cluster;クラスター、集塊)で、6個の集まりです。これらの細胞(群)は、核の不整な形態からみて核形の異常(核の不整)で、前段階までに分裂異常があったことが明らかです。正常な核ならば、自在に核変形や不整化することはアーティファクト(人工的産物としての変形核)以外にはありえないのです。

 核小体はここでも、それぞれ十分な大きさを保持しています。正常な形質細胞ならば、核小体は不鮮明化して(ときには認められなくなって)免疫グロブリン産生に向けて成熟・移行していくのが普通です。

 この集合した像が正常かどうか確かめたくなります。一方、最終的に核小体は、いつまでもこのように明らかなのかどうかについて、観察者として自問自答が必要になります。

 さてここで、この症例の問題点は、高マクログロブリン(IgM)血症にふさわしい(整合性のある)形態を指摘できる症例か、あるいは多発性骨髄腫(multiple myeloma;MM)に整合性ありとすべきか、自問自答が続きます。

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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