重要なポイント(シリーズ630-1-3.POD)
「解説・特殊染色の方法とその読み方」
杏林大学保健学部 臨床血液学(教授) 中竹 俊彦
この解説の次に,パワーポイントで特殊染色は(シリーズ630)に提示しています。
シリーズ630-1-3
III.ペルオキシダーゼ染色
III−1.原理
骨髄性ペルオキシダーゼ(ミエロペルオキシダーゼ:MPO)は顆粒球系のライソゾーム(加水分解酵素を含む顆粒)の成分です.本来は好中球などが細菌の貪食過程において細胞内で酸素消費によって生成した過酸化物(peroxide)を分解して殺菌作用を発揮する酸素を発生させる酵素のことです.
染色法の実際では,POが失活しない程度に固定した白血球に,過酸化物として過酸化水素(H2O2)を試薬として供給し,PO反応で分解された産物(2O)を同時に色源体(chromogen)として加えた発色性物質(水素,または電子の供与体)から水素(または電子)を切り離す(酸化)反応です.
産生された酸素とその供給された水素とを結合し,H2Oを生成させるとき,色源体そのものは酸化反応で発色するものです.組織学領域では,酵素反応はやや異なるものの,POの証明よりもカタラーゼ反応が用いられた経緯があります.
III-2.背景
染色法2)としては,教科書的には自家調整でα-ナフトール法(あるいは,NB-PO染色キットなど)があります.以下,国際的にはDAB法(染色キットがある)まで多様な方法がある.ところが,国際的に推奨されたとはいえ特定の標準法はないのです.POの検出感度,色調(対比染色液との色調関係を含めて),染色態度の安定性,核構造の鮮明さの良し悪し,陽性顆粒のキシロールやアルコール類への安定性など,色調や色素の特性で一長一短があります.問題点は,陽性顆粒の色調が可視的にどの色調が優れているかという単純な比較ができないことにあると思われます.
最も頻繁に利用されているのはDAB法と思われますが,弱陽性では黄褐色で,色覚的には感度が高い色彩とはいえず,むしろNB-POなど青色系統に劣るものです.ところが,DAB法は対比染色でギムザ染色が愛用され,その核構造が良好に染まる点で芽球(白血病細胞)の確認が比較的容易です.その点,色覚的にNB-PO法などの青色陽性顆粒は鮮明ですが,核染色はサフラニンOなど赤色系統になると核構造が不鮮明となって,芽球(白血病細胞)の確認は困難な場合が多いのです.
III-3.方法(「実技編(パワーポイントで提示)」をご参照ください)
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体裁
B5版(本文 305頁)
目次(序論・1〜24まで9頁)
索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)
(頒布いたします)
入手方法の問い合わせ( nakatake@kdt.biglobe.ne.jp )半角アットマークで可能です。