重要なポイント(シリーズ630-1-7.NOR

 

 解説・特殊染色の方法とその読み方」

                 杏林大学保健学部 臨床血液学(教授) 中竹 俊彦

 この解説の次に,パワーポイントで特殊染色は(シリーズ630)に提示しています。

シリーズ630-1-7.NOR

VII.核小体・(核小体形成体)染色

VII-1.原理

 染色体のうち,染色体番号の13,14,15,21,22番の短腕側の二次狭窄部部分に,核小体を形成する部位(nucleolar organizer region:NOR)があるとされています.これらはRNA polymerase I を活性化しセルサイクルの合成期(S期)になると,sulfhydryl基(-SH基)を多く含んでいるrRNAを合成し,融合して核小体に発達します.SH基を多く含むため好銀性となり,硝酸銀を応用して染色できる方法です.

 

VII-2.背景

 核小体はrRNAを合成する特性があります.核小体から病態に迫ることは上記1〜6ほど特異的な所見ではないのですが,多発性骨髄腫では核小体の大きさと数が病状の悪化と関連するとされます.

 銀染色を応用したAgNORとして染色し観察すると,旧来の核小体染色に匹敵して,造血細胞全般に対して新しい所見の集積が今後に期待できるでしょう.末梢血のリンパ球や骨髄の赤芽球系にも,全域にわたって非常によく観察できます.NORは融合して核小体の部位に証明できるものと,非常に小さく核小体の外の染色体に付随して小さい斑点状のままに見えるものとが識別できます.前者の核小体として発達するのは活性型に変化しているものと考えられ,核の直径も大型化している点では核小体の目立つ細胞と所見がよく一致します.

 NORは形質細胞では免疫グロブリン合成能、赤芽球系ではヘモグロビン合成能、顆粒球系では顆粒の産生能力の発揮に応じて大型化すると考えられます.

 

VII-3.方法(「実技編(パワーポイントで提示)」をご参照ください)

 文献

(参考資料)

1.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(1)

2.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(2)‐リンパ球を追う‐

3.中竹俊彦:マルクマスター,ブラストマスター(ともに,CD-ROM教材)

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 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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