危険薬物の種類は、年々増加しています。しかしながら、その種々の薬物に対して薬理作用を決定する基礎研究は膨大な時間が必要となります。そこで、刺激性薬物に対する生体の反応による変化をとらえる事で、詳細な基礎研究の結果が未完成な薬物であっても、基本的な薬理作用が同様であれば、刺激性薬物摂取の推定が可能と考えています。
自殺は、年間2万人以上ある大きな社会問題です。しかしながら、自殺を決定できる客観的な指標は確立されておりません。これまでに、一部の自殺事例等において、グルタミン作動性神経が過剰に刺激されていることが報告されています。そこで、法医解剖例において、自殺を決定づける客観的な指標を明らかにする為、免疫組織化学的、分子生物学的に検索しています。
非アルコール性脂肪性肝疾患は、腸内細菌叢によって産生されるアルコールが原因の一つと考えられています。腸から吸収されたアルコールは、門脈を経て全て肝臓に送られ処理されます。そのため、通常の採血で採取される末梢血液内にアルコールは検出されません。腸内細菌がアルコールを産生している場合は、飲酒歴が無いにも関わらず絶えず肝臓に負担がかかっている状態と言えます。しかしながら、日本での食生活などの生活習慣における、腸内細菌叢によるアルコール産生については明らかではありません。そこで、肝臓で処理される直前の門脈血液と、処理後の末梢血液のアルコール濃度の測定と腸内細菌叢の解析及び肝臓と心臓の組織学的検査から、非アルコール性脂肪性肝疾患の原因の解析と虚血性心疾患への影響について明らにすることを目的としています。
現在入手可能な検査キットには、体外診断用医薬品および研究用試薬が混在しており、感度・特異度・再現性に差がある可能性があります。本研究では、法医学的解剖症例から得られた死体尿を用いて複数の市販されている簡易尿中薬物検査キットの性能を比較し、その有用性と限界を明らかにすることを目的としています。
死亡後の体は時間とともに変化してしまうため、生前の健康状態を正確に反映する指標は未だ確立されていません。栄養状態を数値化・定量化して、死後の変化を考慮した法医学独自のバイオマーカーを同定し、科学的根拠に基づいた死因究明を可能とするものであり、ご遺体から採取した血液検体を用いた生化学検査の信頼性を高めることを目的としています。