杏林大学医学部付属泌尿器科教室 Kyorin University Hospital Urology.

症状 背中や腰が痛い。


背中の痛みや腰の痛みは多くの患者さまが訴える症状です。その原因にはさまざまなものがあり、その多くは整形外科的なもの(骨や筋肉の痛み)です。泌尿器科の疾患では、腎・尿管結石、腎盂腎炎、腎梗塞などの腎臓の異常が考えられます。

腎・尿管結石は腎臓や尿管に結石ができる病気です。急性腎盂腎炎では腎臓に細菌が入って繁殖し腰痛と高熱を生じます。尿路結石、腎梗塞(腎臓の血管がつまる病気)では急激な激しい痛みを感じますが、慢性腎盂腎炎では鈍痛が持続します。これらの疾患以外でもあらゆる腎疾患で腰背部が生じることがあります。また先天性または後天性で腎より下の尿路が狭くなり腎に尿がたまり水腎症をおこすと腰背部痛があらわれることがあります。また、女性の骨盤臓器脱(性器脱)では、脱出した臓器が引っ張られるような症状、牽引感が痛みとして感じることもあります。その他の臓器では解離性大動脈瘤、胆嚢、膵臓、胃、十二指腸疾患などの場合でも背部痛を生じます。

下腹部痛の原因で多いのは女性では急性膀胱炎、男性では急性前立腺炎が挙げられます。細菌感染により膀胱粘膜や前立腺に炎症をきたし、下腹部痛以外に排尿時痛や頻尿がみとめられます。特殊な疾患としては前立腺(痛)症や間質性膀胱炎が上げられます。前立腺(痛)症は下腹部や会陰部の痛み、残尿感を自覚するものの、検尿所見で異常が見られない疾患です。間質性膀胱炎も検尿所見でほとんど異常がないにもかかわらず、尿意切迫感、頻尿などの自覚症状が強く、しばしば下腹部や会陰部の痛みを伴います。あきらかな原因がいまだに不明の疾患ですが、いくつかの治療法を組み合わせて、ある程度まで症状軽減を図ることができるようになってきました。

この場合の病気・疾患(腰背部痛)
尿路結石
腎盂腎炎
水腎症
この場合の病気・疾患(下腹部痛)
膀胱炎
前立腺炎
前立腺(痛)症
間質性膀胱炎
骨盤臓器脱