ホーム >  その他  >  新型コロナと医療の国際協力体制

この春、藤原究先生、西孝先生と一緒にプレゼミのクラスを担当した。学生諸君のプレゼンではコロナの社会的対応及びその後の世界の展望をめぐって複眼的な検討が行われ、大変興味深かった。やや残念ことは国際協力という視点からの発表がなかったことだ。今日のコロナ禍を乗り越えるために、国際協力の視点は欠かすことができない。

過去の事例を見てみよう。1910年11月9日、中国ハルビン傅家甸でペストが発生する。翌年4月3日、清政府は奉天(瀋陽)で「万国鼠疫研究会」(ペスト国際シンポジウム)を主催し、日本を含めて英米等11カ国から34名の医療関係者代表が集まった。26日間にわたって行われた会議中に45個の国際決議がなされ、この会議は国際協力を通じて感染症のパンデミック克服に大きな役割を果たしたとされている。しかしその一方、8年後の「スペイン風邪」の被害は第1次世界大戦によって増幅され世界的なパンデミックとなり、5000万以上の命が奪われた。

今回の新型コロナウイルスは世界に大きな混乱をもたらしたが、既成の国際医療組織も国際社会も、協調機能を十分に果たすことができたであろうか。新型コロナウイルスが深刻化している今こそ、国際医療協力や国際秩序の在り方を問い直す時期ではないかと思う。この秋学期に学生のみなさんと一緒にこの問題を引き続き考えていきたい。(劉迪)

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