重要なポイント(シリーズ620-1-2)
‐赤血球,好中球,血小板の形態から骨髄像までを見通す予備知識‐
「重要なポイントではどのように細胞をみたり考えたりするか」
杏林大学保健学部 臨床血液学(教授) 中竹 俊彦
この解説の次に,パワーポイント(シリーズ620)をご参照ください.特殊染色は(シリーズ630)に提示しています。
620-1-2
I.「疾患の病態・正常形態との対比」を理解して取り組むこと
病的標本の細胞は,その成り立ち(標本の細胞構成)が,じつに特徴的です.したがって,初学者の自己研修の第一歩は,事前に丁寧に記述されているテキストで血液疾患の病態を理解することが,必須の条件に位置づけられます.
すなわち,疾患の病態知識なくしては,標本から訴えてくる意味はつかめないからです.
私たちは正常な形態を理解しておけば,正常な形態に比べて病的形態が説明できます.その奥には病的パターンや病態があって,血液疾患の病態をイメージしながら標本を判読すると,自ずと「細胞所見と病態の関係」が明らかになるのです.
<付録:病態知識についての付記:2008.1.28.>
病態知識の学習に対して,こういう意見(異見)もあります.いわく「病態学や病態知識については,医学部教育さらには医師の領域の知識であって,保健学や臨床検査学では時間をかけて学ぶ必要が無い,と。
ところが,血液形態学とくに骨髄精査の場合は,当然のように末梢血標本の観察はもちろん,造血細胞の形態学では病態(病的状態)と細胞形態とは切り離しては話(情報交換)が成り立ちません.したがって,単純に数値化された結果のみを報告しても意味が通じない場面がたびたび発生します.
なぜなら,骨髄検査報告用紙には細胞形態に関する簡潔な記述と同時に,臨床診断と整合する所見があるのか無いのか,多くの場合は観察担当者へ具体的な「ことば」での観察結果を求められる場面があります.その場面に,血液学専門の臨床検査部所属の医師がいらっしゃれば,臨床の医師への情報提供は問題なく果たせるでしょう.
血液疾患の骨髄精査は、急を要する場合に,報告までにどの位の検査時間を許されているのか,観察後の信頼できる情報を誰が発信するのか,そのようなシステムが整った血液検査室はどこで発症した症例にも対応できるのか,こうした未解決の問題点は改善されていくのでしょうか.
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文献
(参考資料)
1.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(1)
2.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(2)‐リンパ球を追う‐
3.中竹俊彦:マルクマスター,ブラストマスター(ともに,CD-ROM教材)
上記の問合せ先:中竹 俊彦
杏林大学保健学部 臨床血液学 中竹俊彦(042-691-0011内線4305,4308)
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<教材の御案内>
体裁
B5版(本文 305頁)
目次(序論・1〜24まで9頁)
索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)
(頒布いたします)
入手方法の問い合わせ( nakatake@kdt.biglobe.ne.jp )半角アットマークで可能です。