ところで,悪性貧血は1)胃粘膜の萎縮のために鉄吸収不良もあり,全身的には鉄欠乏状態にある,2)無効造血のために,血清鉄や骨髄の鉄だけをみると鉄過剰にみえる側面がある,3)B12に対して反応することを確かめられる(造血剤に対する反応性),4)B12投与で赤芽球は一層増加するので鉄欠乏が表面化し.HBの回復が鈍化する.このため,一般病院で骨髄穿刺の前に臨床的にB12に対する反応性をみる処置を受けると,この症例のようになる.結果は鉄欠乏と低色素性赤芽球,巨赤芽球核形態異常およぴ巨赤血球,大赤芽球と大赤血球と巨大後骨髄球と巨大杆状核球など,多彩な形態所見が同一標本上で出現する.
この例は感染症がきっかけで来院した.過分葉好中球は末梢血で認めたが,骨髄ではすでにみられなかった.しかし,巨大後骨髄球や巨大杆状核球を認めた.これらは細胞分裂能はなくB12には反応しないから,骨髄には認められたのである.巨大な好中球系にはいつかふれてみたい・・・
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