3 好中球の死(図5a)
正常状態では骨髄中で好中球の死細胞をみることはないが,薬剤性の骨髄障害や,ときにはITPやウイルス感染症で成熟好中球が萎縮,死細胞化したl),マクロファージに貪食されている像が普通に認められる.
4 細胞破砕片fragmentation(図5b)
末梢血の赤血球破砕片は,血管内凝固促進や,肺炎など炎症による毛細血管の通過障害が推定される.一方,前骨髄球の特徴的なアズール顆粒を多数含む血小板大の球状の細胞質断片は,骨髄の幼若好中球の反応性増加が強いことを推定できる.単球やマクロファージ由来のこともある.血小板と鑑別できないと,所見が見過ごされる.
5 好中球が貪食された像(図6a,b)
小型のリンパ球様細網細胞は細胞質の貪食物をよくみると,青色の粗大なファゴソームは特徴になる.マクロファージ系の増加は,造血細胞の反応性増殖亢進に伴う無効造血や処理物質の増加を意味する.好中球が貪食された像は骨髄内で好中球が死んでいることを意味し,薬剤の副作用による中毒(図6a,b)やITPのほかウイルス感染による細胞死が主因である.また,SLEなどの自己免疫性疾患での好中球貪食像は免疫複合体結合や貪食,自己抗体の結合による好中球障害で,血流へ動員不能な好中球の増加と寿命の短縮を意味し,好中球減少が背景にある.
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