2 核の幅に対する制約(図2)
少数出現する杆状核球(白血球数の5%以下)は核幅も分節核球とほぼ同じである.
動員の拡大で核幅の大きい杆状核球も出現するが(a),組織へ出るには核が狭まって障害になるらしく,核変性(b)を起こして押しもどされる.細菌感染,アレルギー性炎症などでは,このように杆状核球の核幅が大きいと核の一端が濃縮することがある.
末梢血の杆状核球数出現平均値は500個/マイクロリットル,分節核球数は3,000個/マイクロリットルで差があるが,内皮面に付着した辺縁プールの同数の分節核球を勘案すると,実数の差はさらに大きい.この差は骨髄から血液への動員は杆状核球では不利で,杆状核が小孔の通過や炎症局所へ出るとき分節核ほどの自由が利かないためと思われる.
ウイルス感染症では末梢血標本に好中球が死んでいく像が普通にみられるが,細胞直径の萎縮(14マイクロメートル以下)や核の濃縮細胞質が著明に赤みの増した好酸性化が特徴である.
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