5 末梢血,骨髄の杆状核球は全く同一形態とみてよいのか?
図5aは骨髄の少し未熟な杆状核球を示す.骨髄では杆状核球の核幅が明らかに1マイクロメートルほど大きい細胞が認められる.この杆状核球の核幅は5マイクロメートルで赤芽球核と同じ幅の時期である.これらは普通では末梢血には出られない.
図5bは骨髄の成熟杆状核球で,ここでは杆状核球増加と分節核球の減少が特徴的であるという点をパタン(像)として認識するとよい.分節核球はすでに動員されて減少している.逆に末梢血で好中球域少があるにもかかわらず,萎縮分節核球が多く残っているときは動員できないという点で意味が違う.
成熟段階の移行像と境界部分を正確に読み分ける観察力がつくと,細菌感染だけてはなく成熟過程の障害や薬剤副作用による骨髄抑制など,顆粒球系の二次的異常としての中毒性顆粒をもつ好中球系増多の意味も読み取れる.
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