3 血小板数の回復の前兆
前巨核球が増加し(症例A),顆粒密度が高く,成熟巨核球への移行(図3)がある.倍数性が大ならば,血小板産生数も多い.血小板サイズも大きいと思われる.
4 PAS染色所見
巨核球はPAS反応強陽性である.ITPの巨核球ではPAS陽性顆粒の分布異常(図4b)も認められる.
慢性型ITPでは,巨核球数は著明に増加しても,巨核球が小型のことがある(図5a,b).PAS染色でも小型巨核球は確認できる(図5c,d).1個当たりの血小板産生は極端に少ない.慢性型でなぜ倍数性が小さい成熟巨核球が増加するのか,説明できない.
5 好酸球の増加1)と変性像
ITPに特異的ではないが,好酸球の増加と著明な空胞化,萎縮を伴う例がある.アレルギー性の変化とみられ,薬剤誘発型,反復型,慢性型によくみる所見である(図6a,b).
6 リンパ球の増加
小児では元来,リンパ球数が多い.先行したウイルス感染による反応性のリンパ球や形質細胞増加も加わる.
7 好中球の中毒性顆粒
上気道感染が最初はウイルス性だと,末梢血好中球が減少する時期がある.二次感染が伴うと好中球動員に変わる.骨髄は成熟好中球減少,後続の好中球系(後骨髄球や杆状核球)に中毒性顆粒が目立つことがある.
8 マクロフアージの貪食像
貪食された細胞は血小板のほか,好中球,赤血球など2)ITPの比較的初期の変化としてみられる(図7a,b).
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