本学卒業生著書の紹介

(2025.6.3)

編集および分担執筆  森 秀明

「腹部の身体診察×エコー超入門」

診断と治療社

発行   2025年6月

定価  本体6,500円+税

腹部超音波検査は「お腹の聴診器」ともよばれ、実地臨床の場において腹部領域の疾患の鑑別診断上、第一選択となる検査です。厚生労働省で掲げている臨床研修の到達目標の基本的な臨床検査の項でも唯一、自ら実施し結果を解釈できる画像検査として位置付けられており、初期研修医にとって習得すべき検査法となっております。

本書はこれから腹部超音波検査を習得しようと考えている医師や臨床検査技師、診療放射線技師、看護師、准看護師の皆様を主な対象にしており、腹部領域の超音波検査の入門書として位置付けられています。総論では超音波検査の長所と他の画像検査との対比、超音波の原理や各モードの特徴と超音波プローブの操作法、近年、臨床の場で普及しつつある慢性肝疾患に対する線維化を反映した肝エラストグラフィ、超音波に特有なアーチファクトについて解説しました。また各臓器の解剖と正常超音波像および描出法、さらに腹部領域でしばしば遭遇する症状である腹痛について病歴聴取や身体診察のポイントに加えて、超音波検査が診断に有用な腹痛の部位別にみた代表的疾患について説明しました。また各論では各臓器の代表的な疾患の病態や概要とともに症例を提示して、身体診察のポイントとエコーの読影のポイントを解説しました。

わが国の医療現場の第一線でご活躍中の先生方が執筆された本書の各原稿を拝見すると、改めて腹部超音波検査は非侵襲的で日常臨床の場で必要不可欠な検査法であること、腹部領域の診断にきわめて有用であることが認識されます。本書はこれから超音波検査を習得しようとしている方々のみならず、すでに超音波検査に携わっている医師や技師の方々にも大変有意義な書籍であると思われます。