乾癬性関節炎の経口薬の効果と安全性 腎臓・リウマチ膠原病内科が国際臨床試験で明らかに
作成日時:2021年04月07日
当院腎臓内科、リウマチ膠原病内科 岸本暢将准教授の「乾癬性関節炎に対する経口JAK阻害薬の効果と安全性」に関する国際共著論文が、The New England Journal of Medicine(NEJM)誌の4月1日号に掲載されました。【掲載ページはこちら】
本誌は世界的に権威ある医学誌の一つで、医学界に大きな影響を与えている国際誌です。
乾癬は頭皮や肘、膝、おしり、太もも、すねなどに皮膚が赤く盛り上がり、銀白色のフケのようなものが付着しはがれ落ちるなどの症状がみられる病気です。国内の患者数は約50万~60万人程で、そのうち約10~15%に節々の痛み、腫れ、こわばり、また首痛、背中や腰の痛みなどの症状を呈する乾癬性関節炎の症状がみられます。症状が発生する原因は解明されていませんが、免疫の異常によって発症すると考えられています。
昨今、このような皮膚・関節病変に対して非常に効果の高い生物学的製剤(静脈注射、または皮下注射)が開発され、使用されるようになりました。
また、生物学的製剤と同等の効果を示す経口薬として、2020年に承認された関節リウマチ治療薬JAK阻害薬「ウパダシチニブ」があります。今回の論文の中で岸本先生は、乾癬性関節炎の患者さんを対象とする大規模な国際的臨床試験でその効果と安全性を明らかにしました。
欧州ではすでに乾癬・乾癬性関節炎に対して、その使用が承認されておりますが、同様に日本でも医薬品機構への承認が申請されており、現在審査中です。論文では、「今後も症例を重ねて、患者さんの治療の一助となるよう、引き続き当教室で協力して臨床研究を行っていきたい」と総括しています。
論文掲載は、この分野における岸本先生の一連の業績が国際的にも高く評価されていることの現われとして、診療科を主宰するものとして大変誇りに感じています。
腎臓内科、リウマチ膠原病内科
主任教授 要 伸也