輸血医療事故の報告とお詫び

作成日時:2022年04月19日

杏林大学医学部付属病院
病院長 近藤晴彦

当院において患者さんに型の異なる血液を輸血(異型輸血)する医療事故がありました。
経緯は以下の通りです。関係者の皆様に深くお詫び申しあげます。
今後、再発防止の徹底に努めてまいります。

1.経緯
4月11日、当院入院中の90歳代の患者さんに、貧血に対する症状改善のため赤血球の輸血を行ないました。この際、本来輸血すべき血液型はA+でしたが、誤ってB+の型の赤血球を輸血しました。
この患者さんに続いて、別の患者さんに輸血を行なおうとしたとした際、輸血のバーコード認証ができなかったため直前の誤りに気付き、直ちに輸血を中止しました。
患者さん、ご家族には謝罪の上、経緯をご説明しました。
患者さんは、異型輸血の場合に発生する溶血などの症状はありませんでしたが、感染症に伴う敗血症でその後亡くなられました。

2.事故原因
輸血に当たっては、患者さんのネームバンド認証と輸血用血液のバーコード認証が合致しているかを医師と看護師の2名で確認しています。院内の輸血療法マニュアルでは、こうした輸血時の確認から実施までを1患者ずつ行うことにしています。
今回の事例では2人分の患者さんの輸血準備が並行して行われ、病室に2人分の輸血用血液が運ばれ、投与直前の患者さん本人との確認が不十分であったことが原因のひとつと考えています。

3.事故後の対応
同月12日、院内関係者による聞き取り調査、及び事例の確認を行い、患者さんの治療を最優先するとともに、関東信越厚生局、及び東京都福祉保健局医療安全課に報告しました。
同月15日、院内にて緊急対策会議を開催。因果関係を検証するとともに、事故原因を究明し再発防止を図るため、第三者による医療内容調査委員会を設けることとしました。

4.再発防止策
当面は輸血療法マニュアルの遵守を指導するとともに、医療内容調査委員会の報告を受け、こうしたことが再び起こることのないよう徹底してまいります。
改めて深くお詫び申し上げます。

以上