病院・診療科について平成21年度院内助産所・助産師外来開設研修第3クールが開催されました
作成日時 2009年07月31日
不足している産科医にかわって助産師が出産を扱う、院内助産所や助産師外来の開設を予定している医療機関スタッフを対象に、当院の助産師と医師が、開設までの手順や工夫点、開設後の経営効果などを講義する研修会の平成21年度第3クールが、7月21日(火)に開催されました。
第1クール(平成20年度)の様子はこちら
第2クール(平成20年度)の様子はこちら
これまでの研修では、助産師のほか看護師や事務職員の参加がありましたが、今回は初めて医師の参加がありました。
1日間の研修に参加した、2名の医師と1名の助産師に感想をうかがいました。

助産外来や院内助産院の導入は、妊婦さん、医師、助産師の三者に大変メリットがあると思います。
私は子供が3人いるのですが、1人目はしっかり管理された大学病院で出産しました。
けれど2人目、3人目は、妻の希望もあり自宅で出産しました。
最初、妻が自宅で出産すると言い出したときは、設備の整った病院があるからこそ、安全に出産ができるのだと大反対しました。けれど、妻は信頼できる助産師を連れてきて、自宅で出産したのです。その経験は、私の考えを大きく変えました。大学病院で補助をする助産師は、若いこともあり未熟で危ないところをよく見ていました。けれど、妻が連れてきたベテラン助産師たちの技術と心意気にとても感動しました。
何よりも、妻の満足度が病院で出産したときとまったく異なっていました。痛みや精神面がとても安定していたのです。それを見て、信頼できる相手、安心できる場所、この二つのニーズを整えれば、安全で安心なお産ができるのだとわかりました。しっかりと管理された1人目の出産は、無痛分娩だったのですが、妻はそちらのほうが痛かったといっていました。
それから、助産師が医師の主導のもとでお産に携わることは、本当に助産師のためになるのか、私は疑問に思います。助産師になって5~6年の人が、人文系の職種に転職することが多くありますが、それは自分の仕事にやりがいが感じられないというのもひとつあるのではないかと思います。
医師のもとではなく、助産師が主体になり責任を持ってやっていくことで、スキルアップが図れ、仕事にプライドを持ち、モチベーションが上がるのではないか。そうすることで離職率も減らせるのではないかと思います。
また、悪性腫瘍など医師にしか診られないものは医師が管理する。その時間を十分にとるためにも、正常分娩などは助産師にお願いし業務分担をする必要があります。時間がとれると、臨床だけでなく研究もすることができ、その成果を医療に還元できるようにもなります。
このように、医師と助産師が協力して業務分担をすることは、医師にも助産師にも相互にいいことがあるだけでなく、結果として、地域の患者さんや妊婦さんのためにも結びつき、三者にいいことがあると考えています。
私の病院では、既に助産師外来は始めているのですが、今度は院内助産院を立ち上げたいと思っています。今回の研修では、助産院立ち上げにプラスになることを探すため参加しました。講義を聴いて感じたことは、やはりリスクを早く見つけて、いかに早く医師に知らせられるか、これが課題になると思います。その解決のひとつとして、医師と助産師の垣根を無くしたコミュニケーションが重要であるほか、我々医師がしっかりと時間を割くことが大切なのだとわかりました。

現在、保健指導は行っていますが、助産外来を立ち上げるかどうかは検討している段階です。前段階として、医師と助産師が助産外来に対する同じイメージを持っていたほうが検討しやすいと思い、2人で参加しました。この研修会は今回で三回目ですが、当院からは毎回受講者を替えて参加させてもらっています。
【松本さん】
私は医師として診察をしていますが、助産師さんなど立場の違う人はどのような思いで外来をしているのかを以前から知りたいと思っていました。これから助産外来を始めるのならば、やはり助産師には出産に対するスタンスにこだわりをもってほしいと、個人的に思っているからです。既に助産外来が立ち上がっている杏林大学病院のスタッフの方にお話が聞けたのが、とてもよかったです。
今回の講義でもありましたが、毎回妊婦健診のたびにエコー検査をするよりも、外来ではゆっくりと妊婦さんの話を聞くのが大切だと思っています。けれど私たち医師の外来では、妊婦さんのお話をじっくり聞く時間はとれません。今は情報化社会なので、様々な情報を妊婦さん自身が自分で調べて持っています。けれど、それがその人に合っているものなのかはわかりません。そのため、いまは助産師さんの保健指導で話を聞いてもらっています。保健指導とは、医師の外来の補助的な位置づけですが、保健指導で行っていることは重要なことだと考えています。そのような外来を目指して妊婦さんが来てもいいのではないかと思います。
今回受講して、具体的にどのような場所で外来をしているのか、医師と助産師がどのような情報を交換しているのかが見られてよかったです。実際に自分の病院で助産外来を行うときのイメージがわきました。助産外来開設に向けて、基本的なことを助産師さんと一緒に勉強して、共通の概念を持っていきたいと思います。
【風間さん】
これまでは、お産のときにしか妊婦さんを見られなかったのですが、助産外来が始まることで妊娠中からの様子を知れるところが良いシステムだと思います。けれど、「妊婦さんを診る」という経験がこれまでないので、「何かあったらどうしよう」という不安は確かにあります。全て助産師がやるのではなくて、医師に協力してもらい、ポイントポイントで医師の診察が受けられ、何かあったらすぐ相談できるシステムの助産外来が立ち上げられたらと思います。
杏林大学病院の助産師が、大学病院の中でバースセンターを行なっていることにも勇気付けられました。
今回の講義を受講して、助産外来開設のイメージがわきました。そのおかげで、実際にどのようにしていったらよいのかが見えてきました。具体的に手法が思い浮かぶと「私の病院でもできるかも」という思いになってきます。
私はまず、助産師みんなが助産外来を立ち上げることについて、どう思っているのかを聞くことから始めたいと思います。みんなの意向をまとめることが何より大切だということを学びました。
今回までに行われた研修は、東京都から委託を受けて行っているものであるため、基本的に東京都内の病院スタッフが受講対象となっています。
しかし、第1クール開始時から全国の医療施設から参加希望に関する問い合わせがあり、このような研修会の重要さを知りました。そこで当院では、多くの方々のニーズに応えるため、10月以降に全国の病院を対象とした、助産外来・院内助産所開設のための研修を独自に開催することにいたしました。ここでは、新たに助産師の業務となる、搬送コーディネーターについても講義を行う予定です。
詳細はこちらをご参照ください。
第1クール(平成20年度)の様子はこちら
第2クール(平成20年度)の様子はこちら
これまでの研修では、助産師のほか看護師や事務職員の参加がありましたが、今回は初めて医師の参加がありました。
1日間の研修に参加した、2名の医師と1名の助産師に感想をうかがいました。

<都内大学病院 荻島先生>
助産外来や院内助産院の導入は、妊婦さん、医師、助産師の三者に大変メリットがあると思います。
私は子供が3人いるのですが、1人目はしっかり管理された大学病院で出産しました。
けれど2人目、3人目は、妻の希望もあり自宅で出産しました。
最初、妻が自宅で出産すると言い出したときは、設備の整った病院があるからこそ、安全に出産ができるのだと大反対しました。けれど、妻は信頼できる助産師を連れてきて、自宅で出産したのです。その経験は、私の考えを大きく変えました。大学病院で補助をする助産師は、若いこともあり未熟で危ないところをよく見ていました。けれど、妻が連れてきたベテラン助産師たちの技術と心意気にとても感動しました。
何よりも、妻の満足度が病院で出産したときとまったく異なっていました。痛みや精神面がとても安定していたのです。それを見て、信頼できる相手、安心できる場所、この二つのニーズを整えれば、安全で安心なお産ができるのだとわかりました。しっかりと管理された1人目の出産は、無痛分娩だったのですが、妻はそちらのほうが痛かったといっていました。
それから、助産師が医師の主導のもとでお産に携わることは、本当に助産師のためになるのか、私は疑問に思います。助産師になって5~6年の人が、人文系の職種に転職することが多くありますが、それは自分の仕事にやりがいが感じられないというのもひとつあるのではないかと思います。
医師のもとではなく、助産師が主体になり責任を持ってやっていくことで、スキルアップが図れ、仕事にプライドを持ち、モチベーションが上がるのではないか。そうすることで離職率も減らせるのではないかと思います。
また、悪性腫瘍など医師にしか診られないものは医師が管理する。その時間を十分にとるためにも、正常分娩などは助産師にお願いし業務分担をする必要があります。時間がとれると、臨床だけでなく研究もすることができ、その成果を医療に還元できるようにもなります。
このように、医師と助産師が協力して業務分担をすることは、医師にも助産師にも相互にいいことがあるだけでなく、結果として、地域の患者さんや妊婦さんのためにも結びつき、三者にいいことがあると考えています。
私の病院では、既に助産師外来は始めているのですが、今度は院内助産院を立ち上げたいと思っています。今回の研修では、助産院立ち上げにプラスになることを探すため参加しました。講義を聴いて感じたことは、やはりリスクを早く見つけて、いかに早く医師に知らせられるか、これが課題になると思います。その解決のひとつとして、医師と助産師の垣根を無くしたコミュニケーションが重要であるほか、我々医師がしっかりと時間を割くことが大切なのだとわかりました。

<都内病院 松本先生、風間助産師>
現在、保健指導は行っていますが、助産外来を立ち上げるかどうかは検討している段階です。前段階として、医師と助産師が助産外来に対する同じイメージを持っていたほうが検討しやすいと思い、2人で参加しました。この研修会は今回で三回目ですが、当院からは毎回受講者を替えて参加させてもらっています。
【松本さん】
私は医師として診察をしていますが、助産師さんなど立場の違う人はどのような思いで外来をしているのかを以前から知りたいと思っていました。これから助産外来を始めるのならば、やはり助産師には出産に対するスタンスにこだわりをもってほしいと、個人的に思っているからです。既に助産外来が立ち上がっている杏林大学病院のスタッフの方にお話が聞けたのが、とてもよかったです。
今回の講義でもありましたが、毎回妊婦健診のたびにエコー検査をするよりも、外来ではゆっくりと妊婦さんの話を聞くのが大切だと思っています。けれど私たち医師の外来では、妊婦さんのお話をじっくり聞く時間はとれません。今は情報化社会なので、様々な情報を妊婦さん自身が自分で調べて持っています。けれど、それがその人に合っているものなのかはわかりません。そのため、いまは助産師さんの保健指導で話を聞いてもらっています。保健指導とは、医師の外来の補助的な位置づけですが、保健指導で行っていることは重要なことだと考えています。そのような外来を目指して妊婦さんが来てもいいのではないかと思います。
今回受講して、具体的にどのような場所で外来をしているのか、医師と助産師がどのような情報を交換しているのかが見られてよかったです。実際に自分の病院で助産外来を行うときのイメージがわきました。助産外来開設に向けて、基本的なことを助産師さんと一緒に勉強して、共通の概念を持っていきたいと思います。
【風間さん】
これまでは、お産のときにしか妊婦さんを見られなかったのですが、助産外来が始まることで妊娠中からの様子を知れるところが良いシステムだと思います。けれど、「妊婦さんを診る」という経験がこれまでないので、「何かあったらどうしよう」という不安は確かにあります。全て助産師がやるのではなくて、医師に協力してもらい、ポイントポイントで医師の診察が受けられ、何かあったらすぐ相談できるシステムの助産外来が立ち上げられたらと思います。
杏林大学病院の助産師が、大学病院の中でバースセンターを行なっていることにも勇気付けられました。
今回の講義を受講して、助産外来開設のイメージがわきました。そのおかげで、実際にどのようにしていったらよいのかが見えてきました。具体的に手法が思い浮かぶと「私の病院でもできるかも」という思いになってきます。
私はまず、助産師みんなが助産外来を立ち上げることについて、どう思っているのかを聞くことから始めたいと思います。みんなの意向をまとめることが何より大切だということを学びました。
今回までに行われた研修は、東京都から委託を受けて行っているものであるため、基本的に東京都内の病院スタッフが受講対象となっています。
しかし、第1クール開始時から全国の医療施設から参加希望に関する問い合わせがあり、このような研修会の重要さを知りました。そこで当院では、多くの方々のニーズに応えるため、10月以降に全国の病院を対象とした、助産外来・院内助産所開設のための研修を独自に開催することにいたしました。ここでは、新たに助産師の業務となる、搬送コーディネーターについても講義を行う予定です。
詳細はこちらをご参照ください。