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北方領土ゼミナールへの参加
 
杏林大学総合政策学部教授 斎藤元秀
 2004年10月、中ロ国境が「折半の原則」に基づいて最終的に解決した。翌年1月には、ロシアとカザフスタンとの国境も「折半の原則」に立脚して全面的に解決した。しかし、日本とロシアの間にある北方領土問題は、解決の目途がついていない。
 プーチン大統領はわが国の固有の領土たる北方4島(択捉、国後、歯舞、色丹)のうち、面積的に7パーセントにあたる歯舞・色丹両島の対日引渡しにより、北方領土問題の決着をつけることを望んでいるようだ。だが、これは日本にとって受け入れがたい。プーチン大統領が昨年11月来日し、小泉首相と首脳会談を持った。しかし、日ロ間の溝は依然として大きい。
 北方領土問題とは何か。どのように発生し、どのようにしたら解決できるのか。
 北方領土問題への理解を深めるため、昨年夏(8月31日〜9月2日)、根室で大学生や大学院生を対象としたゼミナールが開催された。主催は独立行政法人の北方領土問題対策協会で、後援は内閣府、外務省、文部科学省である。杏林大学からは2名が参加した。
 一人は大学院生の菊池誉名君で、もう一人は坪野谷和樹君だ。両名ともかなり熱心に3日間にわたるゼミナールに参加してくれたようだ。ある方より両名とも討論会でリーダーシップを発揮してくれたとのお褒めの言葉を頂いた。以下は、二人の感想である。

元島民の言葉に感銘
菊池 誉名(杏林大学大学院国際協力研究科)

 北方領土は、歴史上一度も外国の領土になったことはない日本固有の領土です。しかし、戦後60年たった今も、ロシアから返還される見込みすらたっていません。
 そのような中、根室で開かれたゼミナールに参加できたことは、貴重な経験でした。ゼミナールでは、元島民の方との意見交換、学生同士の討論会、講師の先生方からの講義、また、船で歯舞群島の洋上視察までさせて頂きました。
 その中でも特に、元島民の方が「北方領土に眠る親の供養と思って、返還運動に取り組んできた」といわれた言葉に感銘を受けました。かの土地は、日本人の手で開拓され、そこで生活が営まれた場所であり、私たちがこの土地を忘れてしまうことは、そこで生きた方々の歴史とその霊を見捨てることだと思い改めました。
 その他にも多くを学びました。今後はこの経験を生かし、知識を深め、北方領土問題に取り組んでいけたらと思っています。

北方領土問題を子供たちにしっかりと教えたい
坪野谷 和樹(杏林大学総合政策学部総合政策学科2年)

 戦後60周年という節目の年に、第5回北方領土ゼミナールが開催された。北海道から沖縄まで計42名の大学生や大学院生が参加し、8月31日から9月2日までの3日間行われました。参加者の専攻はさまざまで、あらゆる視野の意見が飛び交い、改めてこの機会に参加できたことに感謝しています。
 そもそも北方領土は、わが国固有の領土であり、ソ連・ロシアによる実効支配が続いているというのが現状です。ところが、学校教育では、北方領土について詳しく教えてはいません。日本人として誇りを持って子供たちにきちんと教えていくべきなのではないかと思いました。政治信条に関係なく、人間として、日本人として大切なものを持ってもらいたい。だから私は今後も胸を張って「北方領土は日本の領土だ!」と次世代へ伝えていきたいと思います。

2006.1.13
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