トピックス
トピックス
トピックス
JICAメキシコ子宮頸癌プロジェクトに参加して

 メキシコは子宮頸癌罹患率が高い国として知られています。子宮頸癌は検診として細胞診、細胞診で異常を認めた者については精密検査としてコルポスコープ診(子宮頸部を拡大して観察する機器)、組織診(一部を切除する生検)の3つによって診断され、これら3つの診断は合致しているのが通常であり、その病変の程度によって治療方法が選択されます。

 しかしながらメキシコにおいてはそれらが合致しない例が非常に多く、結果として過小あるいは過大な治療法が選択されているケースが少なくありません。そのような事態を憂慮したメキシコ保健省はJICAを通じて3つの診断法の一致率の増加をめざして、検診受診率の低いメキシコ南部州を中心に特に頸癌の前がん病変から初期癌におけるプロジェクトを組み、専門家の派遣を本学に要請しました。これに答えて8月30日から9月9日まで本学病理学教室の坂本穆彦教授と共にメキシコを訪問したものです。

 今回はメキシコシティーに7つの州から延べ200人を超す病理医・細胞検査士・コルポスコピスト・婦人科医が集まり、4日間にわたり各2日ずつ、各州から問題症例を持ち寄り、それらの症例の検討を行うとともに、坂本教授と私が講演を行いました。

 病理学教室の坂本教授は婦人科領域では有数の権威であり、病理診断のバイブルともいえる取扱い規約委員会の病理委員長として、また日本臨床細胞学会においては国際交流委員会の委員長として広く世界的に活躍しておられます。今回は主に細胞診と組織診における診断を担当されました。私は日本婦人科腫瘍学会指導医として臨床医の立場から主にコルポスコープ診を担当しました。毎日9時から5時までのハードスケジュールながら大変熱心な議論が交わされ、最終日にはメキシコにおける診断技術が向上し、またこれが日墨友好の一助になることを願って「ビバ・メヒコ!(メキシコ万歳!)」の連呼で幕を閉じました。

杏林大学医学部産婦人科助教授 矢島正純



メキシコ保健省にて子宮がんプロジェクトのチーフと共に
坂本穆彦教授(右から2人目)、矢島正純助教授(左から2人目)

2006.10.3

▲ このページのTOPへ