トピックス
トピックス
トピックス
中唐文学会第17回大会が八王子キャンパスで開催されました
外国語学部教授 ・ 満江
(東アジア言語学科中国語ビジネスコミュニケーションコース)

 10月7日(土)午後、中唐文学会第17回大会が八王子キャンパスで開催されました。前日が大雨だったので大会当日の天気が心配でしたが、一夜明けるとまるで台風一過のような好天に恵まれ、一部の交通機関に乱れが出たものの、約50名の会員がほとんど支障なく全国各地から参加し、年に一度のこの機会に旧交を温めつつ、互いに研究成果を披露し合いました。
 訪れた会員はキャンパスに緑が多いこと、空気がきれいなことを口にされ、本学教員として、自然の中で学ぶ環境の価値を再確認させられた思いです。
 
 晩唐の詩人李商隠についての研究発表においては、まさにその前の中唐に画期があったことが前提となってはじめてこの詩人の作品に現れた個性が理解されるということが論じられ、また、古漢籍の流通に関する講演においては、少なくとも江戸時代くらいまでは日本は漢籍を大変大事に扱ってきたこと、しかし、現在においては、むしろ中国において古漢籍の復刻が国家事業として行われ、多額の国家予算が組まれていること、日本においてはこのような古漢籍を扱う書誌学そのものがあまり普及していない現状、などが報告されました。
 最後に、中国から来られ、現在東京大学客員教授でいらっしゃる先生のコメントも交え、3名のパネリストによるシンポジウムが行われ、一部のパネルではパワーポイントも使われました。
 E棟401番教室の機器はその威力を十分に発揮してくれて、他大学からいらした先生はUSBメモリーをご持参になっただけで無事にパネルを発表でき、画面上の唐詩を、唐代の発音を復元した音声メディアつきで説明できました。

 結局、シンポジウムの議論によって、古典研究の成果をより広く発表していくべきであること、現代社会においても実際は古典研究の成果が求められていることなどが確認できたように思います。もしも李白や杜甫や白居易に関わる文化遺産が現代の人々にまったく知られないことになってしまったら、人々はより味気ない人生を過ごすことになるかもしれません。世界の文化遺産とはそういうものなのでしょう。いったん継承する努力を怠り、わからなくなってしまえば、もはや取り戻す術はなくなるのです。

2006.10.24
▲ このページのTOPへ