がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン

11/15(土)市民公開講演会「がん医療の最前線~がんの予防と最新治療」を開催いたしました

司会の 古瀬 純司 教授
活発に質疑応答が行われました
大勢の参加者が熱心に聞き入っていました

11月15日(土)、杏林大学三鷹キャンパス第1講堂において、杏林医学会が主催する市民講演会で「がん医療の最前線~がんの予防と最新治療」をテーマに市民講演会を開催し、一般市民および医療関係者等を含め101名の参加がありました。また今回は、「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」の事業推進の一環として、地(知)の拠点整備事業及び三鷹ネットワーク大学との共催で実施しました。

          

 プログラム内容は、がんにかからないためにはどうすればいいのか、もしがんになってしまったらどんな治療があるのかなど関心の高い話題を中心に、がんの予防から最新の治療まで専門の先生による講演を行いました。

本学がんプロフェッショナル養成基盤推進プランコーディネーターである古瀬純司教授の司会のもと、初めに本学医学研究科腫瘍内科学の長島文夫准教授から、「がん薬物療法の進歩と外来在宅がん診療について」の講演がありました。現在における遺伝子情報を参考にする"個別化医療"の時代が始まりつつあること、また一方で、超高齢化社会に突入した日本では、がん以外の病気の発病をきっかけにがんや認知機能の低下が明らかになるなど様々な問題に直面することもあり、医学的な対応以外にも身体的問題、精神心理的問題、社会的問題といった様々なリスクを評価して治療を進める試みも始まっていることを紹介しました。

次に、本学医学研究科消化器・一般外科学の阿部展次准教授は、専門である「体にやさしい消化器がんの二つの最新治療」についての講演がありました。以前は、お腹に大きな切開創を必要としていた手術が、現在では、内視鏡や腹腔鏡が大きく発達したことで、痛みの少ない極力小さな傷、あるいはお腹の傷をなくして治療することが第一と考えられるようになってきたことについて、その手術に用いる機器や実際の動画を交えて、最新の内視鏡切除法や腹腔鏡下手術の実際を分かり易く紹介しました。また、術後回復の速さにより、以前に比べ患者さんがより速く元の生活に戻れるようになってきていることの説明をしました。

最後に国立がん予防・検診研究センターの津金昌一郎先生から喫煙によるがん死亡率の増加や、運動や食生活についての正しい知識など、「がんを遠ざける生活習慣」についての講演がありました。現代の日本人の死因をみると3人に1人はがんで亡くなっており、働き盛りの世代においては、半数はがんが原因で亡くなっており、罹患率も年を重ねる毎に高くなっているとし、がんにならない術はないとしながらもがんを少しでも遠ざける方法があるのではと、食べ物や飲酒、運動量など題材に紹介しました。また、QOL維持を大切にしながら生活することも大事であると強調されました。

 

 また、各講演の間には質疑応答の時間が設けられ、参加者からは日常生活においての疑問や分子標的薬についての質問などがありました。先生方はひとつひとつ丁寧に回答をし、参加者が時に感嘆の声をあげながら熱心に耳を傾けられるなか、全体で2時間にわたる講演会は盛会のうちに幕を閉じました。