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杏林大学について

財務情報

平成17年度 事業報告書

  1. 法人の概要
    1. (1) 学校法人の沿革

      三鷹キャンパスの地に、昭和41年に臨床検査技師を養成する杏林学園短期大学を設立したのに始まる。昭和45年に医療における人間性の回復を唱えて、良き臨床医育成を理念とする杏林大学医学部を創設、同時に医学部付属病院を開院した。その後、昭和54年、八王子キャンパスに保健学部を設立し、さらに同キャンパスに昭和59年社会科学部を、昭和63年外国語学部を開設するまでに発展した。その間、医学研究科、保健学研究科、国際協力研究科を相次いで併設し、平成17年に学園発足からちょうど40周年を迎えた。

      昭和41年1月 学校法人杏林学園寄附行為設置認可、杏林学園短期大学設置認可
      昭和41年4月 杏林学園短期大学開設
      昭和45年4月 杏林大学医学部開設
      昭和45年8月 杏林大学医学部付属病院開院
      昭和47年4月 杏林大学付属高等看護学校開設
      昭和51年4月 杏林大学大学院医学研究科博士課程開設
      昭和52年9月 杏林大学付属看護専門学校に名称変更
      昭和54年4月 杏林大学保健学部開設
      昭和54年6月 杏林大学医学部付属看護専門学校に名称変更
      昭和54年10月 杏林大学医学部付属病院救命救急センター開設
      昭和57年2月 杏林短期大学廃止認可
      昭和59年4月 杏林大学社会科学部開設
      杏林大学大学院保健学研究科修士課程開設
      昭和61年4月 杏林大学大学院保健学研究科博士課程(後期)開設
      昭和63年4月 杏林大学外国語学部開設、杏林大学別科日本語研修課程開設
      平成5年4月 杏林大学大学院国際協力研究科修士課程開設
      平成6年4月 杏林大学保健学部看護学科開設
      平成7年4月 杏林大学大学院国際協力研究科修士課程(後期)開設
      平成13年4月 杏林大学外国語学部外国語学科設置
      平成14年4月 杏林大学総合政策学部総合政策学科名称変更
      杏林大学国際交流センターを設置
      平成16年4月 杏林大学大学院国際協力研究科国際医療協力専攻を設置
    2. (2) 設置する学校・学部・学科等
      学  校  名 研 究 科 課   程
      杏林大学大学院  医学研究科  博士
       保健学研究科  修士(前期)、博士(後期)
       国際協力研究科  修士(前期)、博士(後期)
      学  校  名 学   部 学   科
      杏 林 大 学  医学部  医学科
       保健学部  臨床検査技術学科、保健学科、
      看護学科
       総合政策学部
      ※1 社会科学部
       総合政策学科
      社会科学科
      ※2 外国語学部  外国語学科
      英米語学科、日本語学科
       別科日本語研修課程
      ※1.平成14年度より名称変更(社会科⇒総合政策) 
      ※2.平成13年度学科改組(英米・中国語・日本語⇒外国語)
      学  校  名 課   程
      杏林大学医学部付属看護専門学校  看護専門課程
    3. (3) 当該学校・学部・学科等の入学定員、学生数の状況

      平成17年5月1日現在

      学 校 名 研 究 科 課   程 入学定員 学生数(内留学生)
      [1]杏林大学大学院  医学研究科  博士課程 34 74(7)
       保健学研究科  修士課程 7 8(0)
       博士課程 4 2(0)
       国際協力研究科  修士課程 80 142(83)
       博士課程 12 28(11)
      学 校 名 研 究 科 課   程 入学定員 学生数(内留学生)
      [2]杏林大学  医学部  医学科 90 559(1)
      保健学部   臨床検査技術学科 55 316(0)
       保健学科 55 305(0)
       看護学科 80 365(0)
       総合政策学部  総合政策学科 350 1,564(102)
       社会科学部  社会科学科 72(8)
       外国語学部  外国語学科 290 1,534(272)
       英米語学科 3(0)
       日本語学科 2(2)
       別科日本語研修課程 80 42(42)
      学  校  名 課  程 入学定員 学生数(内留学生)
      [3]杏林大学医学部付属看護専門学校  看護専門課程 100 310(0)
      入学定員・学生数合計【[1]+[2]+[3]】 1,237 5,326(528)
      (注)1.
      保健学部保健学科、臨床検査技術学科、看護学科では2年次及び3年次に編入学定員を設定
      (保健学科及び臨床検査技術学科はそれぞれ2年次10名、3年次5名、看護学科は2年次10名、3年次10名)
      (注)2.
      総合政策学部及び外国語学部はそれぞれ3年次に編入学定員を設定
      (総合政策学科50名、外国語学科45名)
    4. (4) 役員・教職員の概要
      1. [1] 役  員

        平成18年3月31日現在

        役   職 氏   名 現       職
        理 事 長  松 田  博 青  学園長
        理  事  長 澤  俊 彦  大学長
        理  事  跡 見    裕  大学医学部長
        理  事  藤 原  隆 明  大学保健学部長
        理  事  千 葉    洋  大学社会科学部・総合政策学部長
        理  事  鳥 尾  克 ニ  大学外国語学部長
        理  事  丘 島  晴 雄  大学教授(保健学部教務部長)
        理  事  藤 井    明  大学客員教授(外国語学部)
        理  事  石 井  良 章  大学教授(病院長)
        理  事  田久保 忠 衛  大学客員教授(社会科学部・総合政策学部)
        理  事  井 戸   和 男  天理大学教授・(財)学生サポートセンター常務理事
        理  事  小 塩    節  フェリス女学院理事長・中央大学名誉教授
        理  事  鈴 木  武 夫  鶴岡学園理事長・北海道文教大学学長
        理  事  辻 岡    昭  慶應義塾大学名誉教授

        平成18年3月31日現在

        役   職 氏   名 現       職
        監  事  松 本    薫  元会計検査院
        監  事  戸 田  修 三  元日本私立学校振興・共済事業団理事長
      2. [2] 教 職 員
                  ※ 教 員 総 数 本務教員  554名  兼務教員 545名
                  ※ 職 員 総 数 本務職員 1,679名  兼務職員  98名

        区  分 法人
        本部
        杏 林 大 学 医 学 部
        付属病院
        看護専門学校
        医学部 保健学部 総合政策学部 外国語学部
        教 員 本務 - 359 107 37 34 - 17
        兼務 - 325 32 43 129 - 16
        職 員 本務 73 71 61 1,470 4
        兼務 10 2 12 73 1
        合計人数 83 757 455 1,543 38
        (注)1. 法人本部の本務職員には外部への出向者26名、兼務職員には外部への出向者1名を含む。
        (注)2. 医学部の兼務教員には非常勤臨床助手120名、兼務職員には外部からの出向受入者1名を含む。
        (注)3. 八王子キャンパス(保健・総合・外国語)の職員は合同事務体制のため合算とした。
        (注)4. 総合政策学部の兼務教員には大学院国際協力研究科の10名(客員教授、非常勤講師)を含む。
  2. 事業の概要
    1. 1)平成17年度の事業の概要
      事業方針 三鷹・八王子両キャンパスの教育・研究の充実及び環境の整備を重点事業とし各部門の諸計画については、高等教育を取り巻く環境の激変に対応すべき大学改革を視野に入れた基盤強化を図る事業を最優先とした。
      1. IT環境の整備
      2. 学生のキャンパス生活の支援(奨学金制度の充実)
      3. 各部門の充実・強化(各学部・大学院教育など)
      4. 教育・研究・診療環境整備の継続
    2. 2)平成17年度の主な事業の目的・計画
      1. (1)IT環境の整備  
        平成15年度に情報処理教育、学術研究に不可欠な教育システムを更新し、IT(情報技術)化が急速に進む社会に対応すべきハード面の整備を行った。
        平成17年度は、履修登録システム、学内情報システムを構築して、環境の充実を図る。これからのIT教育の改革にあたっては、コンピュータリテラシー(ソフトの操作技能)教育から情報リテラシー(情報活用能力)教育へのシフトについて検討する。また、無線LAN、学外からのアクセス、インターネット機能の充実についても見直しが必要であり、学生サービスの視点から早期に検討する。
      2. (2)給付奨学金による学生支援  
        平成15年度から奨学金制度を見直し、特に経済的援助を必要とする学生に対する【救済】を目的とした給付奨学金事業の充実を図ってきたが、平成17年度は「杏林大学奨学金検討会」を発足し、褒賞的なものを含めた奨学金制度の見直しを検討する。
      3. (3)各部門の充実・強化(各学部、大学院教育など)
        1. [1] 医学部の教育改革の取り組み
          • 卒前教育については、授業内容・方法の改善のための組織的な取り組み(FD)の一環とて、学生による教員の授業評価を実施する。
          • 客観的臨床能力試験(OSCE)導入のための評価者研修、チュートリアル教育導入のためのチューター養成研修を引き続き実施し、より一層の教育の充実を図る。
          • カリキュラムについては、第2学年次において基礎系カリキュラムの改変、第4学年次での共用試験本格実施に向けての環境整備、第5学年次から第6学年次の前期まで実施していた病棟実習(BSL)を第5学年次で終了させ、第6学年次に診療参加型実習(クリニカルクラークシップ)の実施、再度OSCEを実施して、臨床技能実習の成果を判断するなどの充実を図る。
          • 卒後臨床研修については、非常勤臨床助手制度の一層の充実を図る。また、若手教員の研究意欲促進のため、優れた学内共同研究に対する褒賞制度を導入する。
        2. [2] 保健学部の教育改革の取り組み
          • 臨床検査技術学科に新規資格として、臨床工学技士の養成課程を設定、実施に向け検討を継続する。
          • 看護学科カリキュラムを従来の過密なカリキュラムの見直しを行い、他大学にはない利点を有効に活用し、明確な特徴を打ち出すカリキュラム案の検討を継続する。また、助産師資格課程の設置を検討する。
          • インターンシップ制度の積極的導入とボランティア活動科目の創設を図る。
          • 医学部及び近隣提携校との共同研究を積極的に推進する。
        3. [3] 社会科学部・総合政策学部の教育改革の取り組み
          • 従来からのプレゼミナールを発展させ、新たに学生の一般教養能力、計算力、実務能力の向上を図るために基礎学力養成演習を設置して、基礎学力向上プログラムとして再整備する「プレゼミナール改革」を検討する。
          • 国家U種及び地方上級試験を視野に入れて、その専門試験科目を早期に履修可能なように、カリキュラムや時間割、講義内容を検討し、「就職試験・公務員試験関連科目」の整備を行う。
          • 複数の教員がチームを組み、具体的な学際的テーマを指定して、学生指導する学際演習を第3学年次対象に設置し、演習科目の充実を図る。
        4. [4] 外国語学部の教育改革の取り組み
          • 従来の専門科目は、学問的領域に従って区分したA群からE群まで5分野により構成されていたが、これらの制度は廃止し、学生の卒業後の進路を想定し、「英米語・英語教育専攻」「日本語教育専攻」「中国語ビジネスコミュニケーション専攻」「表現文化専攻」及び「国際観光専攻」の5専攻を設けるとともに、文部科学省に必要な諸手続きを行う予定。
          • 実践的な語学力の向上を図るため、英語では"TOEFL505点以上"若しくは"TOEIC600点以上"、中国語では、"中国語検定準2級以上"の合格を到達目標とした教育を図る。
        5. [5] 大学院(3研究科)の取り組み
          • 平成16年度に開設した国際協力研究科の国際医療協力専攻は、順調に発展し、この専攻の更なる発展に努力する。
          • 医学研究科、保健学研究科については、定員充足率の向上を図るべくカリキュラムの改正を含め検討する。
        6. [6] 医学部付属病院の取り組み

           本年度は中央病棟のオープン、第3病棟、第2病棟6階の改修によってアメニティーの改良、機能の向上を図り、良質な医療を高い次元で提供する事を目指す。また、第2病棟6階には不眠治療センターを新設、そして医療事故の防止と対策を更に向上させるため、医療安全管理室を移転し、ハード、ソフト両面共に飛躍的に改善充実を図る。

          • 在院日数を継続的に削減、物流システムを抜本的に組み替える。
          • 経営分析を更に推進し、更なる収支バランスの改善を図る。
          • 広大な西東京地域における唯一の特定機能病院としての機能を果たすべく、高度先進医療の種類を増やし、内容を一層充実させ地域のメディカルセンターとしての使命を果たす。
          • 高度先進医療とは異なる先端的な手術法、薬物療法、検査法を含む先進的な治療法や検査は医療事故防止の観点から「先進的医療審査委員会」にて慎重に審査後、推進の有無を決定する。
          • 平成17年度から実施される「個人情報保護法」を遵守する目的で厚生労働省のガイドラインに沿って患者の個人情報を保護する。このための指針を外来に黙示し専門委員会の活動を基に管理運営する。
          • 研修医教育の充実を図るため、初めての試みであるが地元医師会、保健所、各種老人施設と連携して研修医の地域医療研修を開始する。
        7. [7] 入学センターの取り組み

           学生募集活動として次の3つを基本方針として活動する。

          1. 学部別PRを強化する。
          2. PR物を刷新し効率的な広報活動を励行する。
          3. 入試データを充実させ、的確な入試分析をもって募集戦略に生かす。
          • 高校・予備校訪問(最重点地区・重点地区)の強化
          • PR物の刷新
            1. 大学案内書の全面的なリニューアル
            2. 学部別リーフレット
            3. 学部別ポスター
            4. 学内イベント紹介リーフレット
          • データの充実と分析
            1. 地区別高校別(ランク含む)
            2. 学部別学科別受験状況
            3. 出願者、受験者、入学者動向分析
        8. [8] キャリアサポートセンターの取り組み
          • 低学年よりキャリア形成意識の醸成を図り、個々の学生に付加価値を付ける。
          • 実質的就職率の向上を目指し、学生の個別指導の徹底と組織的な就職先開拓を推進する。
          • 学部・ゼミナールと密なる連携をとり、就職支援を行う。
          • インターンシップ制度の充実等、就職先の拡大・充実を図る。
        9. [9] 管理部門(法人本部)の取り組み
          • 外国語学部「中国語学科」の廃止に伴う寄附行為の変更。
          • 私立学校法の改正に伴う寄附行為の変更。
      4. (4)教育・研究・診療環境整備の継続

         教育・研究の環境整備は、平成15年度に情報処理教育、学術研究に不可欠な教育システムを更新したが、更にIT環境の整備を継続して行う。具体的には、新履修登録システム、学内情報システムを構築する。
        診療環境の整備は、施設面では建設以来33年を経過するにおよんで第3病棟の老朽化が進んできたことから一層の診療環境の整備と改善が必要と考え、新しいコンセプトに基づく新外科病棟の建設と引き続き既設病棟の整備を行う。
        設備面では、すでに医療情報システムの導入が行なわれているが、安全で、効率的、良質な医療を提供することから、現状のシステムの効果を検証しその結果によっては、他社のシステムに変更することも含め再構築する。

    3. 3)平成17年度の主な事業計画の進捗状況
      1. (1)IT環境の整備

         八王子キャンパスを中心に新履修登録システム、教務・学生関係システムの構築、教室のIT化など本格的にIT化の第一歩を踏み出した。
        ITリテラシー教育面では、コンピュータリテラシー(ソフトの操作技能)教育から情報リテラシー(情報活用能力)教育へのシフトが始まったが、部分的導入にとどまっている。無線LANは外国語学部校舎(E棟)の整備が実施されたことで、すでに授業、ゼミなどで活用している。また、学外からのアクセス、インターネット機能の充実については、部分的に見直しが行われているものの全体的には引き続き検討しなければならない。

      2. (2)給付奨学金による学生支援

         平成15年度から奨学金制度を見直し、特に経済的支援を必要とする学生に対する【救済】を目的とした給付奨学金事業の充実を図ってきたが、平成18年度より経済的支援として緊急時奨学金、褒賞的なものとして、成績優秀学生に対する奨励金を給付することを検討し奨学金制度の見直しを行った。

      3. (3)各部門の充実・強化(各学部、大学院教育など)
        1. [1] 医学部の教育改革の取り組み
          • 学生による学内講師以上の教員約170名に対し、全8項目について5段階評価を実施した。総合得点が高かった5名を「Teacher of The Year2005」として表彰した。
          • 客観的臨床能力試験(OSCE)導入のための評価者研修、チュートリアル教育導入のためのチューター養成研修を実施した。更に診療参加型実習導入のための評価者研修を実施するなど、より一層の教育の充実を図った。
          • カリキュラムについては、第2学年次において基礎系カリキュラムの改変、第4学年次での共用試験本格実施に向けての環境整備、第5学年から第6学年次の前期まで実施していた病棟実習(BSL)を第5学年次で終了させ、第6学年次に診療参加型実習(クリニカルクラークシップ)の実施、更に第6学年次にも Advanced OSCEを実施して、臨床技能実習の成果を判断するなどの充実を図った。
          • 卒後臨床研修については、委員会を立ち上げ非常勤臨床助手の増加などの一層の充実を図った。また、若手教員の研究意欲促進のため、優れた学内共同研究「共同研究プロジェクト」(2件)と個人(5名)に贈る(助手以上助教授まで)「研究奨励賞」を導入し、研究助成金を給付した。
        2. [2] 保健学部の教育改革の取り組み
          • 臨床検査技術学科に新規資格として、臨床工学技士の養成課程を設定することについては、平成18年度より入学定員40名の「臨床工学科」を設置した。
          • 看護学科カリキュラムを従来の過密なカリキュラムの見直し、平成19年度より実施する予定である。また、助産師課程については、検討中である。
          • インターンシップ制度等については、平成19年度からの新カリキュラムには導入しており、実施予定である。
          • 医学部及び近隣提携校との共同研究の推進については、現在進行中である。
        3. [3] 社会科学部・総合政策学部の教育の取り組み
          • 従来からのプレゼミナールを発展させ、新たに学生の一般教養能力、計算力、実務能力の向上を図るために基礎学力養成演習を設置して、基礎学力向上プログラムとして再整備する「プレゼミナール改革」を検討する計画については、平成18年度から1学年次向けの基礎学力養成講座(社会のしくみ、文章力演習、読解力演習、計算力演習、近現代史論、データ分析演習、表現力演習、 計16単位)を設置することで、その準備を行った。
          • 国家U種及び地方上級試験を視野に入れて、その専門試験科目を早期に履修可能なように、カリキュラムや時間割、講義内容を検討し、「就職試験・公務員試験関連科目」の整備を行う計画については、平成18年度から開講する公務員対策用科目(経済原論T・U、財政学概論T・U、憲法概論、民法概論、政治学概論)を準備した。
          • 複数の教員がチームを組み、具体的な学際的テーマを指名して、学生指導する学際演習を第3学年次対象に設置し、演習科目の充実を図る計画については、春学期・秋学期1クラスずつ開講した。しかし、一方しか取れないしくみであったために、新しい試みにチャレンジする学生数が少なかったこと、カリキュラム上で同時間帯に競合科目が多かったことなどで秋学期には受講生がいなかった。準備不足を反省し、平成18年度に向けて新しい出発をしたい。
        4. [4] 外国語学部の教育改革の取り組み
          • 計画では外国語学科に「英米語・英語教育専攻」「日本語教育専攻」「中国語ビジネスコミュニケーション専攻」「表現文化専攻」及び「国際観光専攻」の5専攻を設ける予定であったが、その後の協議・検討の結果、「英語学科(英語ビジネスコミュニケーションコース・英語教育コース)」「東アジア言語学科(日本語教育学コース・中国語ビジネスコミュニケーションコース)」及び「応用コミュニケーション学科(表現メディアコース・観光文化コース)」の3学科・6コース制に改組し、学内手続き及び文部科学省への届け出を完了した。
          • 各種語学検定試験での到達目標を定め、実践的な語学力の向上を図るために、英語・中国語教育における学部独自の共通プログラム(Practical English Program:PEPとChinese for International Communication:CIC)を開発し、そのテキストを編纂した。(平成17年度5割のクラスで導入し、平成18年度からすべてのクラスで本格的導入)また、目標到達を検証するためにTOEIC IP TEST学内実施に向けての準備を完了した。
          • 目的・計画には無かったが、高大連携の重要性に鑑み、教員による出張講義、高校生対象の論文・翻訳コンテストを実施するとともに、新しい学部の教育内容をより理解してもらうために、重点指定校に対して教員による高校訪問を実施した。
        5. [5] 大学院(3研究科)の取り組み
          • 国際協力研究科の国際医療協力専攻では学生の意識の多様化に加え、社会構造も変化していることから、更なる同専攻の充実を図るため本学の掲げる教育理念に照らしつつ、学生並びに社会的ニーズの高い授業科目を導入する等、教務委員会においてカリキュラム改正を検討中である。
          • 医学研究科、保健学研究科の定員充足率の向上を図るべくカリキュラムの改正を含めての検討については、医学研究科はカリキュラムを含む教務系に関する項目を検討するための委員会設置に向けて、準備委員を委嘱し調査等を行った。保健学研究科は学納金の一部変更(減額)を行った。カリキュラムについては検討中である。
        6. [6] 医学部付属病院の取り組み

           中央病棟は6月にオープン、既設病棟の第2病棟6階は27室の改修を行い、効率面を考えワークステーションの拡張、照明器具の変更、室内の改修及び浴室使用時の段差を解消してシャワーユニットを設置した。また、第2病棟6階に不眠治療センターを新設する計画であったが、第3病棟3階の1室を改修し「睡眠治療センター」として10月に稼動した。

          • 在院日数を継続的に削減、物流システムを抜本的に組み替える計画については、在院日数は中央病棟の稼動に伴い平均在院日数が1.5日ほど短縮された。今後、病床運営委員会の活動により継続的な平均在院日数短縮を図る。
            物流システムは病院情報管理システムの更新に伴い、従来の物品管理システムを廃止して、新たに物流システム及びSPDを導入した。
          • 経営分析を更に推進し、更なる収支バランスの改善については、病院情報管理システムを介してデータを分析するソフト他を用いた病院原価計算を開始した。今後、病院経営会議、病院経営分析委員会で病院原価計算書を用いた経営分析を行い、収支の要因を調査検討する。
          • 高度先進医療の種類を増やす計画については、種類の増加はなかったが、今後、高度先進医療推進委員会の活動により更なる拡充を図り、地域のメディカルセンターとしての使命を果たす。
          • 高度先進医療とは異なる先端的な手術法、薬物療法、検査法を含む先進的な治療法や検査は医療事故防止の観点から「先進的医療審査委員会」にて慎重に審査後、推進の有無を決定する計画については、先進的医療審査委員会で、先進的な手術法(申請17件中許可15件)、先進的な薬物療法(申請3件中許可3件)、先進的な検査法(申請1件中許可1件)を審査し推進した。
          • 平成17年度から実施された「個人情報保護法」を遵守する目的で厚生労働省のガイドラインに沿って患者の個人情報を保護する。このための指針を外来に黙示し専門委員会の活動を基に管理運営する計画については、個人情報保護管理委員会により、個人情報の指針を策定し外来棟に掲示した。今後、個人情報保護管理委員会の活動を基に、より実務的な部分の検討を行う。
          • 研修医教育の充実を図るため、初めての試みであるが地元医師会、保健所、各種老人施設と連携して研修医の地域医療研修を開始する計画については、三鷹・武蔵野・調布医師会、多摩府中・西多摩・多摩小平保健所、介護老人保健施設で研修を行っている。今後、初期臨床研修委員会により更なる充実を図る。
        7. [7] 入学センターの取り組み

           学生募集広報活動は、事業計画の3つの基本方針(1.学部別PRを強化する。2.PR物を刷新し効率的な広報活動を励行する。3.入試データを充実させ、的確な入試分析をもって募集戦略に生かす。) を踏まえ活動した。
          保健学部、総合政策学部、外国語学部においては、改組・学科増設が行われた。その届出手続きが完了と同時に、各学部の特色を分かりやすく掲載した学部別のリーフレットを全国の高等学校、予備校宛てに郵送し周知を図った。また、必要に応じ数回に亘り適宜チラシ、印刷物、募集要項を郵送し広報活動を行うと共に、資料請求者宛てにも同様に印刷物を郵送した。
          高校訪問については、受験生・入学者のデータに基づき抽出された重点地区、重点校を中心に教員及び職員が訪問し、本学の特色を説明すると共に高校の現場の情報収集を行った。進学相談会、大学説明会を精力的に実施した。

        8. [8] キャリアサポートセンターの取り組み
          • 低学年よりキャリア形成意識の醸成を図り、個々の学生に付加価値を付ける計画については、学内資格講座を実施=明確な目標を立てチャレンジすることがキャリア形成意識の向上に繋がる。そのために、低学年からも資格取得の可能な講座を配置し、学生の興味にあわせて実力をつけさせるよう配慮した。
            e―Testing=就職筆記試験対策及び適性適職診断等々(1400問題以上)をインターネット上で、利用可能なWeb模擬就職試験対策システムを導入した。これは、学生がキャリアサポートセンター内の専門パソコンで登録すれば、同センター内のパソコン及び自宅のパソコンからも自由に問題入手が可能である。平成17年度11月に稼動を開始し、50名が登録を行っている。同センターのホームページ及び掲示板等でも掲載し、幅広く利用を呼びかけている。
          • 実質的就職率の向上を目指し、学生の個別指導の徹底と組織的な就職先開拓を推進する計画では、ランチタイム職業研究の開催=職業紹介や職業に対する理解を深めるために、警視庁、消防庁、防衛庁、民間企業のOB・OGを招いて、業界研究及び職種指導を昼休みに実施した。ランチタイムサテライトインフォメーションの実施=各課、各センターが協力して、学生が気軽に各職場を利用できる環境作りと低学年の利用頻度の向上を目指し、昼休みを利用して相談コーナーを食堂に開設した。平成17年11月から月2回実施し、相談件数は20件で、そのほとんどがその場で解決できた。(1件のみ担当窓口に依頼。)学生個々の相談に迅速に対応することで、学生サービスの向上にも繋がっている。
          • 学部・ゼミナールと密なる連携をとり、就職支援を行う計画については、ゼミ出張講座=学部ゼミを利用することは、「就職情報を個々に伝達」、「学生の質問にその場で応じる」等々、その効果は絶大である。学生とのコミュニケーションを十分行うことで、個々の就職相談にも対応可能であり、就職支援をスピーディーに行えた。平成17年度は、総合政策学部・外国語学部の34ゼミ(研究室)から要請を受け、出張講座を実施し、学生の就職支援に努めた。
          • インターンシップ制度の充実等、就職先の拡大・充実を図る計画については、社会体験及び就業意識の醸成を図る上で、インターンシップは有意義である。
            また、企業研究や職種研究等々にも役立ち、企業選定を行う際の大きな一助になるため、今後とも積極的に充実・拡大していきたい。平成17年度は総計で66人が夏期休暇中にインターンシップを行った。なお、受入れ企業は国内68社で、総計132名枠を確保した。
        9. [9] 国際交流センターの取り組み

           本学の学際的かつ国際的な総合大学の特色を活かし、本学と海外の大学、学術研究機関との学術・文化及び人的交流を図り、もって人材の育成に寄与することを目的として、以下の業務を行った。

          • 国際交流の調査に関すること。
            各学部、研究科での国際交流の実態調査を行い、18年度からの新しい教育内容に即した国際交流の取り組みを展開するための準備を行った。(継続中)
          • 本学と海外の大学、学術研究機関との学術・文化の交流に関すること。
            • ハルビン医科大学と学術交流協定締結。
            • SHATEC シンガポール国際ホテルツーリズムカレッジとの学術交流協定の締結。
            • 協定校を始めとする海外の大学、学術研究機関からの来訪者を接遇し、交流の促進を図った。(モレロス州大学学長一行、河北大学副学長一行、北京語言大学副学長一行、深?職業技術学院学院長一行、マンチェスター大研修担当者来訪、オックスフォードCIE担当者来訪、等々)。
            • 協定校を始めとする海外の大学、学術研究機関へ本学教職員を派遣し、交流の促進を図った。(韓瑞大学校、秦安飛行場竣工式参加、高麗大学校創立100周年記念式典参加、ハルビン医科大学と学術交流協定締結、天津外国語大学・天津医科大学、北京第二外国語学院・中日友好医院訪問、等々)。
          • 外国人留学生(別科生を含む)受入れ及び本学学生の海外留学、海外研修に関すること。
            • 外国人留学生受入れ
              交換留学生17名、委託生3名、別科生(春学期26名、秋学期18名)
            • 交換留学生の派遣、私費留学生のサポート、海外短期研修を行った。
              交換留学生8名、派遣留学生2名、私費留学生(セメスター留学含む)10名、マンチェスター英語インターンシップ3名、オックスフォード語学研修18名、中国深?職業技術学院での日本語教育実習13名、シンガポール観光実習28名、カナダ研修(保健学部)15名。
          • 短期(語学)研修に関すること
            • 台湾日本語教師の本邦研修受入れ
            • 大仁技術学院夏季日本語研修受入れ
        10. [10] 八王子保健センターの取り組み
          • 学生相談室の設置
            「八王子キャンパス将来構想に関する提言」に基づいて、4月に設置した。
            本学医学部に所属する専門のスクールカウンセラー2名が週に延べ3日間、学生相談に携わっている。
          • 喫煙マナーの指導と禁煙サポート
            健康増進法に基づき、八王子キャンパスの施設内での喫煙は許可されていない。保健センターと喫煙マナー委員会は、関係者の協力を得て禁煙キャンペーンを実施し、喫煙マナーの指導と禁煙サポートの取り組みを進めた。
          • 健康週間イベント
            学生の健康及び健康的な生活習慣の獲得、保持に役立てるために、健康習慣イベントを実施し、"眼の健康""性感染症や避妊に関わる性教育"など、関係者の協力を得て行った。
        11. [11] 医学部付属看護専門学校の取り組み
          • 施設(教育環境)の整備・充実については、成人急性期・回復期看護実習のための成人看護演習室を第2校舎5階に整備し、3階には母性・基礎看護実習のための第2演習室(沐浴演習槽・洗髪台)を設置した。
          • 自己点検・自己評価について、独自の評価を行うために、学則に自己点検・自己評価条項の追加(学則変更)を行い、準備委員会を立ち上げた。
        12. [12] 管理部門(法人本部)の取り組み
          • 外国語学部「中国語学科」の廃止に伴う寄附行為の変更については、平成17年3月開催の理事会及び評議員会の承認を経て、同年4月1日付けで外国語学部「中国語学科」の廃止の手続きを行った。
          • 私立学校法の改正に伴う寄附行為の変更。
            平成17年5月開催の理事会及び評議員会の承認手続きを経て、同年9月に文部科学省の認可を得た。
      4. (4)教育・研究・診療環境整備の継続

         教育・研究の環境整備は、IT環境の整備として主に八王子キャンパスを中心に新履修登録システム、教務・学生関係システムを構築した。無線LANについては、外国語学部校舎(E棟)の整備を実施した。
        診療環境の整備は、施設面では第3病棟の老朽化が進んできたことから、6月に新しいコンセプトに基づく新外科病棟の建設に着手した。また、既設病棟の整備では第2病棟6階の病室を中心とした改修を行うとともに、第3病棟3階の1室を改修し「睡眠治療センター」を10月にオープンした。
        設備面では、すでに医療情報システムの導入が行なわれているが、現状のシステムの効果を検証した結果、他社のシステムに変更し再構築を行った。

  3. 財務の概要

     平成17年度の財務状況について、その概要は前年度と比較した内容とし、計算書は平成17年度予算と比較して記載いたしました。

    平成17年度の資金収支計算書・消費収支計算書・貸借対照表の分析
    1. [1] 資金収支の状況

       平成17年度より保健学部・総合政策学部・外国語学部の学費改定を行なったが、入学定員
      超過を抑制したこと、また在校生の退学者の増加もあり、学納金収入は7,964百万円となり、前年度比△0.7%(26百万円減)の減少となりました。寄付金募集は中央病棟建設募金が低迷したことにより寄付金収入が減少、また私立大学等経常費補助金収入の内、大学院高度化推進特別経費に対する補助金が前年度比160百万減少したことで、補助金収入は全体で前年度比△5.5%(118百万円減)の減少となりました。一方、入院患者数の増加、特定機能病院における医療機関別包括評価(DPC)係数が上がったことなどにより、医療収入は前年度比2.7%(595百万円増)の増加、前年度は中央病棟設備等の資金として調達した借入金収入63億円が計上されていたが、本年度は借入金による資金調達が無いため、資金収入合計(調整勘定を除く。)は前年度比△9.1%(4,275百万円)減少しました。
      これに対し、施設支出は減少したが設備支出は中央病棟設備等などの購入により、前年度比405%(2,564百万円増)の増加、看護師の増員及びオーダリングシステムの導入費用など、人件費及び医療経費の事業経費が増加したことで、資金支出合計(調整勘定を除く。)は前年度比14.5%(5,865百万円)増加となりました。

    2. [2] 消費収支の状況

       帰属収入は、学納金、寄付金及び補助金が減少したが医療収入の増加により34,673百万円となり、前年度比0.7%(258百万円増)の増加となりました。基本金組入額は中央病棟増築工事等により2,241百万円となり前年度比14.6%(287百万円増)の増加となりました。消費収入合計額は32,432百万円となり、前年度比△0.1%(29百万円減)の減少となりました。
      消費支出は、人件費及び医療経費の事業経費が増加したことで37,729百万円となり、前年度比4.0%(1,448百万円増)の増加となりました。
      以上により、帰属収支差額は△3,056百万円となり、前年度比63.8%(1,190百万円増)の支出増加となりました。当年度消費収支差額は5,297百万円の消費支出超過となり、前年度比38.6%(1,477百万円増)の支出増加となりました。

    3. [3] 貸借対照表の状況

       資産の部は、固定資産が中央病棟建設等により前年度比0.8%(551百万円増)の増加となり、流動資産は、固定資産取得により前年度比△23.4%(5,344万円減)の減少となりました。負債の部は、借入金の返済などで前年度比△5.2%(1,737百万円減)の減少となり、負債合計は31,142百万円となりました。

    資金収支計算書・消費収支計算書・貸借対照表

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